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共創事例

公的研究機関との長期の共同育種で、病害で失った主力品種を耐性品種に置き換え、育種合弁へ進む

Zespri(Zespri Group Limited)(大手企業) × Plant & Food Research(The New Zealand Institute for Plant & Food Research Limited)(大学・研究機関)

ニュージーランドベイ・オブ・プレンティ地方(テプケ、マウントマンガヌイ)スケール情報確認日 2026年10月13日

ニュージーランドのキウイフルーツ輸出会社Zespriと、政府所有の研究機関Plant & Food Researchの共創です。両者は30年にわたり共同で品種を育成してきました[1]。2010年11月に細菌病Psaが見つかり、主力の黄色品種Hort16Aが壊滅的な被害を受けると[7][21]、Plant & Food Researchは100人超の研究者を投入して検出法と園地管理法を整え、数百の候補からPsaに耐性のある品種Gold3を選び出しています[15][16]。Zespriは2012年3月にHort16Aの全生産者にGold3のライセンスを与えて接ぎ木を促し[7]、Gold3は「SunGold」として2025/26年度に1億3,800万トレイを売る主力品種になっています[4]。2021年には両者が50対50で出資する育種合弁Kiwifruit Breeding Centreを設け、2022年の赤系品種RubyRed、2025年の第2の赤系品種Red80へと品種の開発が続いています[1][2][3]。

1共創の構造図解:共創プロジェクトの形

公的研究機関との長期の共同育種で、病害で失った主力品種を耐性品種に置き換え、育種合弁へ進む:共創の構造(Zespri、Plant & Food Research)プロジェクト全体の段階探索PoC共同開発事業化スケールBefore|起点During|共創After|成果AZespri1ニーズ・シーズ病害で失った主力の黄色品種を耐性品種に置き換え、新品種を出し続けたい2提供リソース研究資金と合弁への出資、品種権のライセンス制度、生産者基盤、ブランドと50か国超の販売網AZespriの成果5獲得成果確認できた成果黄色品種は1,300万トレイに落ち込んだ後、SunGoldが1.38億トレイ・9,049haへ。2026年のライセンス収入NZ$2.85億今後の目標・期待SunGoldを2030年に1億6,350万トレイへ。Red80の量産(2028年)と新しい緑色品種の商業化判断BPlant & Food Research1ニーズ・シーズ育成した候補品種と病害研究を産業の回復に生かし、成果を研究に還流させたい2提供リソース1977年からの育種集団と選抜体制、100人超の研究者、分子診断法と病害研究、合弁への出資BPlant & Food Researchの成果5獲得成果確認できた成果首相科学賞(2017年)、売上の1.35%のロイヤルティ、商業化収入で国内2位、50対50の合弁へ発展今後の目標・期待合弁で14品種を評価中。気候変動や農薬低減に対応する品種の開発3共同活動共同育種で選抜済みのGold3を、Psa後に数百の候補から耐性品種と確認。全生産者の接ぎ木で置き換え、2021年に育種合弁へ4成果物耐性品種Gold3(SunGold)、Psa診断法と管理策、復興の道筋(2012年)、赤系品種、育種合弁(2021年)

Before起点

AZespri

① ニーズ・シーズ病害で失った主力の黄色品種を耐性品種に置き換え、新品種を出し続けたい
② 提供リソース研究資金と合弁への出資、品種権のライセンス制度、生産者基盤、ブランドと50か国超の販売網

BPlant & Food Research

① ニーズ・シーズ育成した候補品種と病害研究を産業の回復に生かし、成果を研究に還流させたい
② 提供リソース1977年からの育種集団と選抜体制、100人超の研究者、分子診断法と病害研究、合弁への出資

During共創

③ 共同活動共同育種で選抜済みのGold3を、Psa後に数百の候補から耐性品種と確認。全生産者の接ぎ木で置き換え、2021年に育種合弁へ
④ 成果物耐性品種Gold3(SunGold)、Psa診断法と管理策、復興の道筋(2012年)、赤系品種、育種合弁(2021年)

After成果

AZespriの成果

⑤ 獲得成果確認できた成果黄色品種は1,300万トレイに落ち込んだ後、SunGoldが1.38億トレイ・9,049haへ。2026年のライセンス収入NZ$2.85億今後の目標・期待SunGoldを2030年に1億6,350万トレイへ。Red80の量産(2028年)と新しい緑色品種の商業化判断

BPlant & Food Researchの成果

⑤ 獲得成果確認できた成果首相科学賞(2017年)、売上の1.35%のロイヤルティ、商業化収入で国内2位、50対50の合弁へ発展今後の目標・期待合弁で14品種を評価中。気候変動や農薬低減に対応する品種の開発

プロジェクト全体の段階

探索PoC共同開発事業化スケール
①ニーズ・シーズ ②提供リソース ③共同活動 ④成果物 ⑤獲得成果。図の内容は本文と同じ出典に基づきます。
段階:スケール Psa対応で選抜したGold3(SunGold)は、2025/26年度にニュージーランド産だけで1億3,800万トレイが売れ、生産面積は9,049haに達しています[4]。2026年5月には400haのGold3ライセンスがNZ$2億8,500万で生産者に配分され[4]、ロイヤルティはZespriとPlant & Food Researchで分け合う仕組みが続いています[3][4]。2021年10月に設立した育種合弁Kiwifruit Breeding Centreは、2025年12月に新品種Red80の商業化を決め、20品種が商業化前の試験にあります[2]。Plant & Food Researchは2025年7月に他の3研究機関と統合してBioeconomy Science Instituteの一部門になりましたが、合弁は統合後も継続しています[4][24]。共創は品種の置き換えを終え、合弁による品種開発と海外栽培を含む拡大の段階にあると判断しています(2026年10月時点)。

2背景と各組織の狙い

ニュージーランドのキウイフルーツ産業は、1988年の生産者投票で輸出の単一窓口を選び、1997年にZespriブランドを立ち上げ、2000年にZespri Group Ltdが発足しました[27]。Zespriは生産者が所有・支配する会社です[13]。

Plant & Food Researchは政府所有の研究機関で[24]、Zespriは品種開発や健康研究などに毎年数百万ドルを投じる最大の顧客でした[15]。2010年11月に見つかったPsa-Vは、共同育種で生まれた主力品種Hort16Aに特に強い病原性を示し[21][23]、2013年4月のMPIの資料では全国の園地の約70%が感染し、5年間でNZ$3.1〜4.1億の損失が見込まれていました[18]。Plant & Food ResearchのCOOは「産業に多額の投資をしていた銀行に、将来を見通せる自信を与えることも重要だった」(編集部訳)と振り返っています[16]。

3提供資源と役割

AZespri(Zespri Group Limited) 大手企業・ニュージーランド・マウントマンガヌイ(本社) ・ 公式サイト

ニュージーランド産キウイフルーツの輸出販売会社。1997年にZespriブランドを立ち上げ、2000年にZespri Group Ltdが発足[27]。Kiwifruit Export Regulations 1999により、オーストラリア以外への輸出の単一窓口を担う[13][27]。株式は現在と過去の生産者が100%保有し、本社はマウントマンガヌイ、従業員800人超[14]。国内約2,800、海外約1,500の生産者から供給を受ける[14]。2025/26年度の果実売上はNZ$59億、販売量は2億4,810万トレイ[5]。

役割
品種権の保有・ライセンス販売・販売、資金提供
① ニーズ・シーズ
Psa発生前、黄色品種Hort16A(Zespri Gold)はZespriで最も価値の高い品種でした[23]。2010年11月に見つかったPsaはHort16Aに特に強く、2012年3月時点で全国の栽培面積の40%超が感染し、Hort16A園地の約3分の1がその年の収穫までに除去される見込みでした[7]。会長は2012年3月に「過去18か月、PsaはHort16Aの栽培に壊滅的な影響を与えてきた」(編集部訳)と述べています[38]。Zespriには、Psaに耐性があり、味・貯蔵性・市場性でも通用する代替の黄色品種を、生産者が一斉に切り替えられる形で、できるだけ早く用意する必要がありました[7]。その後は「キウイフルーツの市場競争が激しくなっている」(編集部訳)[2]なかで、新しい消費者を呼び込む品種を切れ目なく出すことが課題になっています[2]。
② 提供リソース
研究開発資金。品種開発・健康研究・収穫後科学などに毎年数百万ドルを投じ、Plant & Food Researchの最大の顧客でした[15]。Psa後はKVHと合わせてPsa研究にNZ$1,600万超を投じています[33]。合弁設立後は研究費としてKiwifruit Breeding CentreにNZ$1,815万(2024/25年度)、NZ$1,862万(2025/26年度)を支払っています[3][4]。品種権(PVR)のライセンスをヘクタール単位で生産者に販売する仕組みと、Hort16Aの全生産者にGold3への切り替えを認める配分[7][11]。50か国超の市場とZespriブランド[14]、消費者調査で育種の目標を定める市場知見[31]。
③ 共同活動での担当
共同育種の目標を市場側から設定し[31]、Psa後は復興計画を立ててHort16AからGold3への接ぎ木とライセンス配分を進め[7][35]、SunGoldとして販売。品種権を管理し、ロイヤルティの1.35%分をPlant & Food Researchに支払う[3]。合弁の50%を出資し、取締役を派遣している[3][13]。
⑤ 確認できた成果
  • 黄色品種の販売量は2011/12年度の2,910万トレイから2012/13年度に2,460万トレイ、2013/14年度は約1,300万トレイの見込みまで落ち込んだが[29]、SunGoldは2025/26年度に1億3,800万トレイ(ニュージーランド産)に拡大[4]
  • SunGoldの生産面積は2016/17年度の4,116ha(有機を含む)から[36]2025/26年度に9,049ha(有機を除く)へ。1haあたりの生産者受取(OGR)はNZ$185,661(2025/26年度)で、2012/13年度の黄色品種のNZ$101,973を上回る[4][29]
  • 果実売上は2012/13年度のNZ$15.6億から[29]2024/25年度にNZ$50.3億(2015年に掲げた2025年までにNZ$45億の目標を1年早く達成)[6]、2025/26年度にNZ$59億へ。2025年度のニュージーランド生産者への支払いはNZ$35.6億[5]
  • SunGoldのライセンス販売が収入源になり、2021年の入札の平均はNZ$55万/ha[32]、2026年5月の400ha(実配分416.78ha)の配分収入はNZ$2億8,500万[4]
  • 赤系品種RubyRedは2022年に商業販売を始め[12]、2025年に300万トレイ超、13市場に広がった[2]
⑤ 今後の目標・期待
  • ニュージーランド産SunGoldを2030年に1億6,350万トレイへ(2025/26年度比17.2%増)[10]
  • Red80を2028年に商業量産し、RubyRedの販売期間を8週から最長14週に延ばす。RubyRedは2030年に740万トレイへ[2][10]
  • 自家受粉する緑色品種Green146の商業化判断を、早ければ2026年12月に行う[37]
実現したいこと既存商品・サービスの高度化新商品・サービス開発地域・社会課題の解決
持っている資源資金ブランド・コンテンツ販売網・物流網顧客接点・顧客基盤

BPlant & Food Research(The New Zealand Institute for Plant & Food Research Limited) 大学・研究機関・ニュージーランド・オークランド(マウントアルバート)ほか。キウイフルーツ育種の拠点はテプケ ・ 公式サイト

ニュージーランド政府が所有する研究機関(Crown Research Institute)。前身はHortResearch、さらに遡るとDSIR(Department of Scientific and Industrial Research)で、約1,000人が働く[23][24]。2025年7月1日にAgResearch、Manaaki Whenua – Landcare Research、Scionと統合してNew Zealand Institute for Bioeconomy Science(Bioeconomy Science Institute、2,000人超)となり、Plant & Food Researchはその一部門として続いている[24][25][26]。商業化収入では、統合後の研究所がニュージーランドの研究機関で首位、Plant & Food Research部門が2位とされる[34]。

役割
品種の育成・選抜、病害研究と診断法の開発
① ニーズ・シーズ
シーズは、1977年に始まったキウイフルーツの育種プログラムと[31]、そこで生まれた候補品種です。Gold3は2000年11月にテプケで交配され[22]、2002年に植えた第3世代の実生から選抜されました[23]。Psa発生時には、病原体の研究、分子診断法、園地管理法の開発が急務になり[15][16]、研究機関としては、育成した品種を産業の回復に役立てるとともに、ロイヤルティを研究に還流させる立場にありました[8][34]。
② 提供リソース
1977年からの育種集団と、毎年数万本の実生から選抜する育種の体制[31]。Psa発生直後に100人超の研究者を再配置し、6か月で病原体の研究、検出法、分子診断を整えた[15]。数百の候補品種をPsa耐性・味・生産性・消費者需要で評価し、Gold3を選んだ[16]。農薬の試験と園地管理法の開発[16]。2014年にはキウイフルーツとPsaのゲノム配列を国際的に公開[21]。合弁には50%を出資し、取締役を派遣している[1][3]。
③ 共同活動での担当
育種と選抜を担い、Psa発生後は病原体の研究・診断法・園地管理法を整えて、数百の候補からGold3を選抜[15][16]。Zespriが定めた市場の目標を形質に翻訳し、大量の実生を評価する方法を開発している[31]。
⑤ 確認できた成果
  • Psa対応チームが2017年の首相科学賞(NZ$50万)を受賞[16][17]
  • Gold3、Red19、Green14の売上の3%のロイヤルティのうち1.35%分を受け取る仕組みが続いている[3][8]
  • 2024年の商業化収入の調査で、Plant & Food Research部門はニュージーランドの研究機関で2位[34]
  • Zespriとの関係は「30年にわたる大きな成功を収めた関係の自然な発展」(編集部訳)として、2021年に50対50の育種合弁へ発展[1][3]
⑤ 今後の目標・期待
  • 合弁で14の雌品種を評価中(2024/25年度)[3]。気候変動、農薬依存の低減、省力化を狙う品種を開発する[3]
  • 首相科学賞の賞金で、植物を生物学的脅威から守る次世代の技術を開発する[16]
実現したいこと技術開発・実用化地域・社会課題の解決
持っている資源技術・知財専門人材・ノウハウ生産設備・加工能力

4共同活動③

ZespriとPlant & Food Researchは30年にわたり共同で品種を育成してきました[1]。育種は1977年に始まり[31]、黄色品種Hort16AはPsa発生前にはZespriで最も価値の高い品種でした[23]。Gold3は2000年11月にテプケで交配した実生から選抜され[22][23]、Psaの発見時には商業化の初期にありました[16]。

2010年11月5日、テプケの園地でPsa-Vが確認されました[21]。当時の農林省とZespriが初動を調整し、12月に業界の対応組織Kiwifruit Vine Health(KVH)が設けられ、政府と業界がNZ$2,500万ずつを拠出しました[18][21]。Plant & Food Researchは100人超の研究者を再配置し、6か月で病原体の研究、検出法、分子診断を整えて園地の管理策を示しました[15]。

Plant & Food Researchは数百の候補をPsa耐性・味・生産性・消費者需要で評価し、Gold3の耐性を確認しました[16]。2012年3月21日、ZespriはGold3を軸にした「Psa復興の道筋」を発表しました。Hort16Aの全生産者が接ぎ木を条件にGold3のライセンスを得られる、ほかの生産者向けに400haを追加する、完全な生産に戻るまで最長3年かかる、という内容です[7]。2012年6月に2,068ha(うち1,610haはHort16Aの生産者向け)、2013年に1,130haのライセンスが配分され[28][35]、2012/13年度に約1,860haが接ぎ木されました[29]。黄色品種の販売量は2011/12年度の2,910万トレイから2013/14年度に約1,300万トレイまで落ち込みましたが[29]、Hort16Aの生産面積は2019/20年度にゼロになり[36]、SunGoldは2019年に緑色品種を抜いて最大の品種になりました[9]。

2019年12月に赤系品種Red19を商業化し、2022年に「RubyRed」として商業量を販売しました[12]。2021年8月、両者は50対50の育種合弁Kiwifruit Breeding Centreの設立を発表し、同年10月1日に発足しました[1][3]。Zespriが市場の機会を定め、Plant & Food Researchが必要な形質を大量の実生で測る方法を開発する分担です[31]。2025年12月、Zespriは合弁で育成した第2の赤系品種Red80の商業化を決め[2]、2026年に100haのライセンスを配分しました[4]。

5成果物と成果④⑤

成果物

  • 黄色品種Gold3(登録名Zesy002、販売名SunGold)。2000年にテプケで交配、2011年に米国植物特許が成立[22][23]
  • Psaの検出法・分子診断法と園地管理策(2010〜2011年)[15][16]
  • 「Psa復興の道筋」(2012年3月):Hort16A生産者全員へのGold3ライセンス付与と接ぎ木による転換[7]
  • 赤系品種Red19(2019年商業化、2022年からRubyRedとして販売)とRed80(2025年商業化決定)[2][12]
  • 育種合弁Kiwifruit Breeding Centre(2021年10月発足、50対50、共同出資・ロイヤルティ分配)[1][3]
  • ロイヤルティの仕組み:Gold3などの売上の3%をZespri(1.65%)とPlant & Food Research(1.35%)で分配[3][9]

黄色品種の販売量と生産面積は、Psa前はHort16A、後はGold3(SunGold)で品種が異なります。ライセンス収入はZespriの利益として株主(生産者)に配当されます[32]。2026年のGold3配分(416.78ha、NZ$2億8,500万)を単純に割るとNZ$約68万/haになりますが、これは編集部の計算で、入札価格の分布は公表されていません[4][11]。Plant & Food Researchが受け取るロイヤルティの額は公表されておらず、Zespri側の品種権ロイヤルティ収入はNZ$7,399万(2025/26年度)です[4]。

未確認・留意点
  • Hort16Aの被害規模は、被害前の面積が2,330ha(2011年12月の報道)[30]、2012年3月時点でHort16A園地の約3分の1が除去見込み[7]、2012/13年度に約1,860haを接ぎ木[29]、生産面積は2016/17年度161haから2019/20年度にゼロ[36]という複数の時点の数値で追えますが、被害額の公式な集計は確認できていません。MPIは2013年に産業への影響を5年間でNZ$3.1〜4.1億と推計しています[18]
  • Gold3のニュージーランドでの品種登録(PVR)の年は確認できていません。米国の植物特許は2010年2月出願、2011年12月成立で[22]、PVRはニュージーランドでは2039年、米国では2030年に満了します[10]
  • ライセンスはヘクタール単位で販売され、方式は2021年が入札、2026年はオンラインの競り上げ式でした[11][32]。2021年の平均NZ$55万/ha[32]、2026年の開始価格NZ$42万1,000/ha[11]は確認できましたが、毎年の落札価格の一覧は確認できていません
  • 合弁の出資比率は50対50です[1][3]。両者の出資額は公表されておらず、Zespriが合弁に支払う研究費(NZ$1,815万〜1,862万/年)のみ年次報告で確認できます[3][4]
  • Zespriの2012年の復興計画の発表にはPlant & Food Researchの名前がなく[7]、Gold3の選抜の経緯はPlant & Food Research側と首相科学賞の資料に基づいています[15][16]
  • Psaの侵入をめぐっては、生産者らが政府を提訴し、高等法院は2018年に当時の農林省の注意義務違反を認めましたが[21]、控訴院は2020年に責任を否定し、2021年2月にNZ$4,000万で和解しています(請求額NZ$4.5億)[20]
  • 2016/17年度以前の品種別の生産面積と、SunGoldの初期のライセンス面積(Psa発生前に「G3とG9を700ha接ぎ木」との報道[30])は、一次資料で確認できていません
  • 「30年の関係」は2021年の両者の発表の表現で[1]、共同育種の正確な開始年は確認できていません。育種そのものは1977年に始まっています[31]
  • Gold3は中国で無許可の栽培が広がっており、Zespriは法的措置で拡大を抑えているとしています[3]

6組み合わせの意味編集部の考察

考察

第一の要点は、危機の前から続いていた共同育種が「保険」として働いたことにあると考えられます。Gold3は2000年に交配され[22]、2010年には商業化の初期にありました[16]。数百の候補からなる育種集団と、それを耐性・味・生産性・消費者需要で評価できる研究体制があったからこそ[16]、発見から16か月後に復興の道筋を示せたと推察できます[7]。MPIも、産業は耐性のある黄色品種の植栽で概ね回復したとしています[19]。

第二の要点は、役割とお金の流れが噛み合っていたことです。Plant & Food Researchは育種と病害研究を担い、Zespriは品種権を持ってライセンスをヘクタール単位で生産者に売り、販売を担います[7][11]。売上の3%のロイヤルティは1.35%がPlant & Food Research、1.65%がZespriに入り[3][9]、ライセンス収入は株主である生産者に配当されます[32]。研究機関は品種が売れるほど収入を得て、生産者は自らの会社を通じて品種の価値を受け取ります。2021年の合弁は、これを共同出資とロイヤルティ分配の形で制度化したものとみられます[1]。

第三に、生産者所有の単一窓口という産業構造が、Hort16Aの全生産者へのライセンス付与[7]と賦課金による管理計画[18]を可能にし、数年での一斉転換につながったと考えられます。

一方で、黄色品種の販売量は約1,300万トレイまで落ち込み[29]、生産者は接ぎ木後に最長3年の減収を受け入れました[7]。Gold3の品種権は2039年(米国は2030年)に満了し[10]、中国では無許可の栽培が広がっており[3]、単一品種への依存が次の課題として残っているとみられます。

7他社への応用編集部の考察

考察

この型は、公的研究機関(農研機構、都道府県の農業試験場、大学)と、地域の産品を束ねて売る主体(農協、輸出会社、産地ブランドの運営会社)の共創に応用できると考えられます。本事例が示すのは、平時から候補品種の集団と評価の体制を共同で維持しておくことの意味だと推察できます。

成立の条件は、第一に、研究側が評価の能力を保つための継続的な資金です。Zespriは毎年数百万ドルを投じ[15]、合弁後も年NZ$1,800万前後を研究費として払っています[3][4]。第二に、品種権の帰属とロイヤルティの分配を先に決めておくことです[3][9]。第三に、既存品種の生産者全員に新品種のライセンスを与え、減収期間を明示するなど、生産者が転換の負担を受け入れられる仕組みです[7]。第四に、業界の対応組織と政府の初動です。KVHは発生から1か月で設けられ、政府と業界が同額を拠出しました[18][21]。

留意点として、輸出の単一窓口と生産者所有の会社[13][27]がなければ、ライセンスの一斉配分やロイヤルティの還流は同じ形では成立しない可能性があります。品種権の満了や海外での無許可栽培[3][10]に備える法務の費用も見込んでおくことが望ましいでしょう。

成立に必要な条件

  • 研究側が候補品種の集団と評価の体制を維持できる、継続的な資金があること(本事例は年数百万ドル、合弁後は年NZ$1,800万前後)[3][4][15]
  • 品種権の帰属とロイヤルティの分配(本事例は売上の3%を1.35%と1.65%に分配)を先に決めておくこと[3][9]
  • 既存品種の生産者全員に新品種のライセンスを与えるなど、生産者が転換の負担を受け入れられる仕組みがあること[7]
  • 業界の対応組織と政府の初動資金が、危機の発生から短期間で整うこと[18][21]
  • 品種権の満了や海外での無許可栽培に備える法務の費用を見込んでおくこと[3][10]

8出典

  1. [1]Kiwifruit Breeding Centre(Media Release)
    Zespri・プレスリリース・英語・公表日 2021年8月12日・確認日 2026年10月13日
  2. [2]Zespri to commercialise additional red variety to support growth of Zespri RubyRed™
    Zespri・プレスリリース・英語・公表日 2025年12月10日・確認日 2026年10月13日
  3. [3]Zespri Annual Report 2024/25
    Zespri・公式サイト・英語・公表日 2025年・確認日 2026年10月13日・2025年3月期。合弁は50%の共同支配事業として連結(p.112)、ロイヤルティの分配は注記(p.131)、品種別の生産面積はp.126
  4. [4]Zespri Annual Report 2025/26
    Zespri・公式サイト・英語・公表日 2026年・確認日 2026年10月13日・2026年3月期。2026年5月のライセンス配分は後発事象の注記
  5. [5]Zespri delivers strong 2025 season result reflecting global demand(2025/26 Financial Results)
    Zespri・プレスリリース・英語・公表日 2026年5月20日・確認日 2026年10月13日
  6. [6]2024/25 Financial Results
    Zespri・プレスリリース・英語・公表日 2025年5月21日・確認日 2026年10月13日
  7. [7]Psa Recovery Pathway Launched
    Zespri(Scoop掲載)・プレスリリース・英語・公表日 2012年3月21日・確認日 2026年10月13日・Scoopに掲載されたZespriのメディアリリース
  8. [8]2018/19 season results: Zespri operating revenue exceeds $3 billion
    Zespri・プレスリリース・英語・公表日 2019年5月22日・確認日 2026年10月13日
  9. [9]Zespri Five Year Outlook 2020
    Zespri・公式サイト・英語・公表日 2020年3月・確認日 2026年10月13日
  10. [10]Zespri Five Year Outlook 2025/26
    Zespri・公式サイト・英語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日・2025/26〜2030/31年度を対象とする版
  11. [11]Kiwiflier
    Zespri・公式サイト・英語・公表日 2026年3月・確認日 2026年10月13日・生産者向けの月刊誌。2026年のライセンス配分の方式と開始価格を記載
  12. [12]Zespri Red to become Zespri RubyRed™ Kiwifruit as commercial volumes beckon in 2022
    Zespri・プレスリリース・英語・公表日 2021年10月15日・確認日 2026年10月13日
  13. [13]Corporate Information
    Zespri・公式サイト・英語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日
  14. [14]Zespri(会社案内)
    Zespri(欧州青果団体Freshfelのサイトに掲載)・公式サイト・英語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日・2021/22年度の数値を記載した会社案内
  15. [15]Plant & Food Research and Zespri's Response to the Psa Outbreak
    KiwiNet(ニュージーランドの大学・研究機関の技術移転ネットワーク)・その他・英語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日
  16. [16]Prime Minister's Science Prize Winner 2017
    Prime Minister's Science Prizes・公式サイト・英語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日
  17. [17]2017 Prime Minister's Science Prizes
    Royal Society Te Apārangi・公式サイト・英語・公表日 2018年2月13日・確認日 2026年10月13日
  18. [18]Regulatory Impact Statement: National Pest Management Plan Pseudomonas syringae pv. actinidiae (Psa-V) and Psa-V Levy Order
    ニュージーランド第一次産業省(MPI)・自治体・公的機関の資料・英語・公表日 2013年4月・確認日 2026年10月13日
  19. [19]About Psa (kiwifruit vine canker)
    ニュージーランド第一次産業省(MPI)・自治体・公的機関の資料・英語・公表日 2018年11月7日・確認日 2026年10月13日・最終更新2026年7月8日
  20. [20]Crown and kiwifruit sector plaintiffs settle long running litigation over Psa
    ニュージーランド第一次産業省(MPI)・自治体・公的機関の資料・英語・公表日 2021年2月13日・確認日 2026年10月13日
  21. [21]Kiwifruit and Psa – a timeline
    Science Learning Hub(ワイカト大学)・その他・英語・公表日 2018年7月25日・確認日 2026年10月13日
  22. [22]Kiwifruit plant named 'ZESY002'(USPP22355P3)
    米国特許商標庁(Google Patentsで確認)・その他・英語・公表日 2011年12月20日・確認日 2026年10月13日・出願2010年2月24日、優先日2009年6月30日。出願人Zespri Group Ltd、発明者Russell G. Lowe
  23. [23]Plant Raisers' Award – Russell George Lowe(New Zealand Garden Journal, 2020, Vol. 23(1))
    ニュージーランド王立園芸協会(RNZIH)・その他・英語・公表日 2020年・確認日 2026年10月13日
  24. [24]About us
    Plant & Food Research・公式サイト・英語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日・2025年7月の統合後の位置づけを記載
  25. [25]New Bioeconomy Science Institute to be formed
    Manaaki Whenua – Landcare Research・プレスリリース・英語・公表日 2025年5月14日・確認日 2026年10月13日
  26. [26]Chief Executive appointed for new Bioeconomy Science Institute
    AgResearch・プレスリリース・英語・公表日 2025年6月4日・確認日 2026年10月13日
  27. [27]The kiwifruit regulatory model
    ニュージーランドキウイフルーツ生産者協会(NZKGI)・その他・英語・公表日 2019年8月8日・確認日 2026年10月13日
  28. [28]Zespri Gold3 licence allocation significantly oversubscribed
    FreshPlaza・プレスリリース・英語・公表日 2013年6月19日・確認日 2026年10月13日・Zespriのメディアリリースの転載とみられる
  29. [29]Record earnings for kiwifruit industry
    NZ Food Technology News・取材記事・英語・公表日 2013年6月20日・確認日 2026年10月13日・Zespriの2012/13年度決算の発表を報じた記事
  30. [30]NZ kiwifruit growers could cut back gold variety vines in Te Puke
    FreshFruitPortal・取材記事・英語・公表日 2011年12月7日・確認日 2026年10月13日
  31. [31]The science behind the fruit
    SunLive・取材記事・英語・公表日 2024年10月16日・確認日 2026年10月13日
  32. [32]Golden glow in Zespri licence round
    Farmers Weekly・取材記事・英語・公表日 2021年5月6日・確認日 2026年10月13日
  33. [33]The successful science behind our greatest threat
    Kiwifruit Vine Health(KVH)・公式サイト・英語・公表日 2021年10月27日・確認日 2026年10月13日
  34. [34]Leading the way in commercialisation
    Bioeconomy Science Institute・公式サイト・英語・公表日 2025年12月29日・確認日 2026年10月13日
  35. [35]Zespri libera más de 2000 hectáreas de Gold3 para hacer frente a la Psa
    Portal Frutícola・取材記事・es(外国語)・公表日 2012年6月15日・確認日 2026年10月13日・Zespriの2012年6月の発表を報じたスペイン語の記事
  36. [36]NZKGI Kiwifruit Book – Appendix(Key figures from Zespri's Annual Results 2019-20)
    ニュージーランドキウイフルーツ生産者協会(NZKGI)・その他・英語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日・Zespriの年次決算の数値を再掲した資料
  37. [37]Zespri develops its first self-pollinating green kiwifruit variety
    FreshFruitPortal・取材記事・英語・公表日 2026年6月8日・確認日 2026年10月13日
  38. [38]La "reconstrucción" de la industria del kiwi en Nueva Zelanda
    Portal Frutícola・取材記事・es(外国語)・公表日 2012年3月22日・確認日 2026年10月13日・Zespriの発表とBay of Plenty Timesの報道をもとにしたスペイン語の記事。会長の発言を引用

公表日は出典の掲載日、確認日は編集部が内容を確認した日です。出来事の日付は本文に記載しています。日本語以外の出典は、編集部が内容を日本語にして要約しています。引用文の訳も編集部によるものです。

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