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共創事例
過疎の村を実証地に、ドローン新興企業と物流大手が陸送と空輸を組み合わせた配送網を作る
小菅村(自治体・公的機関) × 株式会社エアロネクスト(スタートアップ) × セイノーホールディングス株式会社(大手企業)
日本山梨県小菅村スケール枠組み 山梨県「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」(第1期)。村は地方創生推進交付金(Society5.0型)を一部活用情報確認日 2026年10月13日
多摩川源流の山梨県小菅村は、大手配送会社の「配達限界エリア」の一つで、人口はピーク時の3分の1に減っています[1][2]。2020年11月に村とドローン開発スタートアップのエアロネクストが連携協定を結び、2021年1月にセイノーホールディングスが加わって、陸送とドローン輸送を組み合わせる新スマート物流「SkyHub」の開発と実証が始まりました[1][4]。2021年11月に買物代行とオンデマンド配送を有償化し[7]、2023年8月からは複数の物流会社の荷物を村内のデポに集めて1社で配る共同配送を始めています[11]。この仕組みは2025年7月時点で全国9か所に広がり[22]、2025年12月には国土交通省の物流パートナーシップ優良事業者表彰を受けています[23]。
1共創の構造図解:共創プロジェクトの形
Before起点
A小菅村
① ニーズ・シーズ配達限界エリアの買物・物流を維持し、災害にも強い村をつくりたい
② 提供リソース実験線と研究開発拠点の場、住民の協力、連携協定の枠組み、交付金の一部活用
Bエアロネクスト
① ニーズ・シーズレベル4に向けた飛行環境・実証地・定期航路を得て、ドローン配送を社会実装したい
② 提供リソース4D GRAVITY搭載の物流専用機、デポ・スタンド・アプリの仕組み、村に置いた運航チーム
CセイノーHD
① ニーズ・シーズ他社も使える物流基盤を作り、2024年問題で維持が難しい中山間地の配送を続けたい
② 提供リソース幹線・ラストワンマイルの物流網と知見、他の物流会社を巻き込む調整力、ファンド経由の出資
During共創
③ 共同活動2020年の村との協定、2021年の物流大手との提携から、試験運用→有償化→共同配送→4者協定へ段階的に拡大
④ 成果物SkyHubの仕組みと有償サービス、共同配送スキーム、物流専用ドローン、村からの遠隔運航拠点
After成果
A小菅村の成果
⑤ 獲得成果確認できた成果買物代行・ドローン配送の有償サービスが定着(2024年に1,200件超)、共同配送で配送体制を維持し国交省表彰今後の目標・期待貨客混載による交通・物流の維持、4者協定での観光・防災への展開
Bエアロネクストの成果
⑤ 獲得成果確認できた成果全国9か所で運用、ライセンス契約開始、レベル3.5の初承認と1対5の遠隔運航、累計23億円を調達今後の目標・期待同時操縦機数を増やして運航コストを削減、全都道府県への展開
CセイノーHDの成果
⑤ 獲得成果確認できた成果共同配送で車両・CO2・稼働時間を削減し国交省表彰。山梨県・長野県へ協定を拡大、野迫川村で準公共化を実証今後の目標・期待小菅モデルを同じ課題を持つ全国の地域へ展開
プロジェクト全体の段階
探索PoC共同開発事業化スケール
①ニーズ・シーズ ②提供リソース ③共同活動 ④成果物 ⑤獲得成果。図の内容は本文と同じ出典に基づきます。
段階:スケール 小菅村では2021年4月に試験運用を始め、同年11月1日に買物代行とオンデマンド配送を有償・定期化しています
[7]。2023年8月に共同配送を加え
[11]、2024年4月に4者の包括連携協定へ更新
[13]、2025年6月の国交省資料では村内12地点にドローン離着陸地点があり、村から他地域のドローンを遠隔運航する拠点になっています
[20]。同じ仕組みは2025年7月時点で全国9か所に展開し
[22]、2024年には物流会社向けのライセンス契約も始まっています
[12]。2026年1月にも村からの遠隔運航で他県の実証を行っており
[26]、運用は続いているとみられますが、採算や村の負担額は公表されていません(2026年10月時点)。
2背景と各組織の狙い
小菅村は人口715人(2020年9月)、高齢化率46%で、大手配送会社の全国的な配達限界エリアの一つとされ、配達の頻度や回数に課題がありました[1][2]。村長は2014年の大雪災害でドローンの必要性を強く感じたと述べています[2]。
エアロネクストは2017年設立の研究開発型スタートアップで、機体の重心を最適化する4D GRAVITYの特許群をライセンスする「IP経営」を掲げていました[29]。2022年度に予定されていたレベル4(有人地帯での補助者なし目視外飛行)に向け、研究開発のための飛行環境と実証フィールド、社会実装に向けた定期航路の開設が「不可欠」と考えていました[2]。
セイノーHDは、同業他社も使えるオープン・パブリック・プラットフォーム(O.P.P.)の構築をグループ戦略とし、ラストワンマイルでは買物弱者対策などの社会課題解決型のサービスを掲げ、2019年には物流領域のスタートアップに投資するCVCファンドを組成していました[4][31][32]。両社は「相互の理念と考えを共有し」、既存物流とドローン物流の接続を標準化したサービスモデルを共同で作ることで合意しました[4]。
3提供資源と役割
A小菅村 自治体・公的機関・山梨県北都留郡小菅村 ・ 公式サイト
東京から約2時間、多摩川源流部にある森林率95%の村。人口は2020年9月時点で715人(高齢化率46%)、2024年3月末で621人[1][13]。村内の商店は1〜2店舗で、最寄りのスーパーまで車で片道約40分かかります[7][15]。村長の舩木直美氏は国土交通省の「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」の構成員です[19]。
- 役割
- 実証地と住民接点の提供、協定の締結、交付金の活用
- ① ニーズ・シーズ
- 大手配送会社の配達限界エリアの一つで、配達の頻度や回数に課題がありました[2]。村内の小売店は2店舗のみで住民の買物が不便なうえ[9]、村長は2014年の大雪災害でドローンの必要性を強く感じたと述べ、災害に強い村づくりへの活用を挙げています[2]。「小菅村は全国の過疎、少子高齢化の先進地であります。小菅村がなんとかなれば日本は何とかなる」(舩木村長、2024年)[13]。
- ② 提供リソース
- 村民の理解と協力のもとで、物流ドローンの研究開発拠点兼試験飛行場と定期配送ルート(ドローン実験線)の場を提供[1]。2020年11月の連携協定、2024年4月の4者の包括連携協定という枠組み[1][13]。地方創生推進交付金(Society5.0型)の一部活用[15]。共同配送では自治体として物流の維持と定住・移住の促進を担っています[11]。
- ③ 共同活動での担当
- 連携協定を結んで実証地を提供し、2021年の試験運用から住民と対話しながらサービスを検証[7]。2023年の共同配送では丹波山村とともに自治体側の当事者となり[11]、2024年に包括連携協定を更新[13]。村長は2025年の国交省検討会に構成員として参加しています[19]。
- ⑤ 確認できた成果
- 2021年4月の試験運用開始から10月30日までにドローン配送190回、買物代行375回。11月1日から有償・定期化[7]
- 2024年4月時点でドローン配送を含むオンデマンド配送550件以上、買物代行1,200件以上。ドローンスタンド10か所[15]
- 2025年6月の国交省資料では村内12地点(8地区のうち7地区)にドローン離着陸地点[20]
- 共同配送で条件不利地域の配送体制を維持。CO2削減9.6t/年(32%)、車両480台/年(33%)、ドライバー稼働3,120時間/年(27%)削減(国交省の表彰資料)[24]
- 2025年12月、村・丹波山村・NEXT DELIVERY・セイノーHDの共同配送が国交省の「強靱・持続可能表彰」を受賞[23][24]
- ⑤ 今後の目標・期待
- 路線バスとの貨客混載の実証を進め、バス運行経費の負担軽減を目指す(推薦調書)[9]
- 4者の包括連携で、農業・観光の振興、雇用・人材育成、持続可能な地域交通・物流、防災に取り組む[13]
B株式会社エアロネクスト スタートアップ・東京都渋谷区(本社)、山梨県小菅村(子会社NEXT DELIVERY本社) ・ 公式サイト
2017年4月設立の研究開発型スタートアップ。機体の重心を最適化する構造設計技術「4D GRAVITY」の特許群をライセンスする事業と共同開発事業を行い、資本金は19億円(資本準備金含む、2025年12月末)[29]。2021年1月20日に小菅村に設立した子会社NEXT DELIVERY(資本金990万円、代表はエアロネクストと同じ田路圭輔氏)がSkyHub事業とドローン運航事業を担い、本事例ではグループとして扱います[3][29]。2024年11月のプレシリーズBで累計調達額は23億円[17]。NEXT DELIVERYの社外取締役にはセイノーHDの河合秀治氏が就いています(2023年2月)[10]。
- 役割
- 機体・運航・配送システムの開発と運営(NEXT DELIVERY)
- ① ニーズ・シーズ
- 物流用ドローンは荷物の有無や種類で重心が変わり不安定になるため、独自技術を生かせる分野と位置づけていました[2]。2022年度の「空の産業革命レベル4」に向け、「十分な研究開発のための飛行環境や実証実験のフィールド、さらには社会実装に向けた具体的な定期航路の開設が不可欠」とし[2]、機体だけでなく配送サービスを主事業とする子会社を設けて、オンデマンドドローン配送の日本一早い社会実装を目指していました[3]。
- ② 提供リソース
- 4D GRAVITYを搭載し、ACSLと共同開発した物流専用機(2021年3月に試作機[5][6]、量産機はAirTruck[34])。ドローンデポ(集積拠点)とドローンスタンド(離着陸地点)を含むサービスパッケージと、注文アプリ・配送管理システムSkyHub TMS[3][13]。小菅村に本社を置く子会社NEXT DELIVERYの運航チームが、村から全国の拠点を遠隔運航しています[20]。
- ③ 共同活動での担当
- 小菅村に研究開発拠点と実験線を設け、機体と配送システムを開発。NEXT DELIVERYが買物代行・オンデマンド配送・共同配送の実務を担い、2023年12月に新設の「レベル3.5」飛行の承認を国内で初めて取得して各地に広げています[1][11][34]。
- ⑤ 確認できた成果
- 2021年7月1日にドローン配送100回を達成。1地区1ルートから4地区5ルート(旅館屋上を含む)に拡大し、目視外飛行も実現[6]
- SkyHubは2025年7月時点で北海道上士幌町など全国9か所で運用[22]。2024年2月に大分県の中津急行とSkyHub Provider Licenseの第1号契約[12]
- 2023年12月に「レベル3.5」飛行承認を国内で初めて取得[34]。小菅村から上士幌町・川根本町などのドローンを同時に5機遠隔運航(1対5)[20]
- 2024年11月に6.2億円を調達し、累計23億円。調達資金はSkyHub事業の運航体制構築・システム開発などに充てる[17]
- 2025年6月に物流環境大賞「先進技術賞」、12月に国交省の「強靱・持続可能表彰」を受賞[18][23][25]
- ⑤ 今後の目標・期待
- AI等で1人が同時に操縦する機数を増やし、運航コストを下げる計画(国交省資料)[20]
- 「平常時と緊急時をフェーズフリーに利活用できる地域物流インフラを…全都道府県に拡げていきたい」(田路CEO、2024年)[16]
Cセイノーホールディングス株式会社 大手企業・岐阜県大垣市 ・ 公式サイト
貨物自動車運送事業などを行う物流グループの持株会社(1930年創業、1946年設立、東京・名古屋証券取引所上場)。資本金424億円、2026年3月期の連結売上高8,129億円[30][33]。2019年にSpiral Innovation Partnersと組成したCVCファンド「Logistics Innovation Fund」(70億円)のアンカーLPで[31][32]、2021年6月に同ファンドを通じてエアロネクストに出資しています(金額非公開)[5]。2024年4月に設立した子会社セイノーラストワンマイルの社長は、本事例を担当してきた河合秀治氏(セイノーHD専務執行役員、2026年7月時点)です[16][30]。
- 役割
- 陸送網と物流ノウハウの提供、共同配送の調整、CVCを通じた出資
- ① ニーズ・シーズ
- グループ戦略として、同業他社も使える「オープン・パブリック・プラットフォーム(O.P.P.)」の構築と、買物弱者対策などの社会課題解決型ラストワンマイルを掲げていました[4]。中山間地域では各社が麓から片道約40分かけて少量の荷物を運び「空気を運びながら配送」する状態で、2024年問題で配送の維持が難しくなると見込んでいました[11]。
- ② 提供リソース
- 幹線とラストワンマイル物流の実績とネットワーク、物流DXの知見とプロジェクト推進力[4]。共同配送では福山通運・富岳通運との配送スキームの調整役を担い、富岳通運の2トン車がデポへ回送した荷物をNEXT DELIVERYの軽バンが域内の荷物と混載して配ります[11]。Logistics Innovation Fundを通じた資本参加[5]。
- ③ 共同活動での担当
- SkyHubをエアロネクストと共同開発し、小菅村での運用実績づくりと全国展開を進める[4]。2023年の共同配送では各社の役割分担を組み、執行役員の河合氏が式典や協定に代表として参加[11][13]。2024年以降は子会社セイノーラストワンマイルが県との協定の当事者になっています[16]。
- ⑤ 確認できた成果
- 2023年8月に小菅村・丹波山村で福山通運・富岳通運・NEXT DELIVERYとの共同配送を開始[11]
- 共同配送の効果はCO2削減9.6t/年(32%)、車両480台/年(33%)、ドライバー稼働3,120時間/年(27%)削減(国交省表彰資料)[24]
- 子会社セイノーラストワンマイルが、2024年8月に山梨県・富岳通運との協定[16]、2025年2月に長野県のアルピコHDとの業務提携[29]の当事者になり、小菅村の仕組みを他県へ広げている
- 2026年1月に奈良県野迫川村で、共同配送のコーディネート役として「準公共化」モデルの実証[26]
- ⑤ 今後の目標・期待
- 共同配送の開始時に掲げた効果:福山通運の車両削減(年間約3t-CO2)、富岳通運・NEXT DELIVERYの収益性改善[11]
- 「同じ課題をもつ全国の地域にこの小菅モデルを展開」(河合氏、2024年)[13]
4共同活動③
2020年11月12日、小菅村とエアロネクストは連携協定を結び、村内に物流ドローンの研究開発拠点兼試験飛行場と定期配送ルート(ドローン実験線)を設けて、陸上輸送と組み合わせた新スマート物流の実証を進めることにしました[1][2]。2021年1月20日、エアロネクストは村に本店を置く子会社NEXT DELIVERYを設立し[3]、同月、セイノーHDと業務提携を結びました。両社はプロジェクトチームを組み、「SkyHub」の開発、小菅村での運用実績づくり、それをモデルにした全国展開の3つを進めるとしています[4]。
2021年4月、村民向けにドローン配送と買物代行の試験運用が始まりました。橋立地区のドローンデポから約600m離れた川池地区のドローンスタンドへ、1日2便・週3日の1ルートからの出発です[7]。6月にはセイノーHDがアンカーLPのファンドとACSLのCVCを通じた出資で3社が資本・業務提携し、共同開発機の安定供給に向けた協業を発表しています[5]。7月1日に配送100回に達し、ルートは旅館の屋上を含む4地区5ルートに広がりました[6]。10月30日までにドローン配送190回、買物代行375回の検証を経て、11月1日から有償・定期のサービスに移行。オンデマンド配送「SkyHub Store」は約300品目から最短30分で、買物代行「SkyHub Delivery」は地元スーパーの約1,000品目を当日中に届け、配送料は300円。天候でドローンが飛べない場合は車で運びます[7][8]。
2023年8月1日、小菅村・丹波山村、セイノーHD、福山通運、富岳通運、NEXT DELIVERYは共同配送を始めました。福山通運の荷物を富岳通運が既存便に積んで村のデポへ回送し、NEXT DELIVERYが域内の荷物と混載して配る方式です[11]。2024年4月17日には村、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、セイノーHDの4者で包括連携協定を結び直しています[13][14]。
5成果物と成果④⑤
成果物
- 新スマート物流「SkyHub」(陸送とドローン輸送を接続する仕組み。ドローンデポ、ドローンスタンド、注文アプリ、配送管理システムSkyHub TMS)[4][7][13]
- 小菅村の有償サービス:オンデマンド配送SkyHub Storeと買物代行SkyHub Delivery(2021年11月〜)[7]、のちに加わったフードデリバリーSkyHub Eats[13]
- 物流会社3社と自治体2村による共同配送スキーム(2023年8月〜)[11]
- ACSLと共同開発した物流専用ドローン(2021年3月の試作機、量産機AirTruck)[5][34]
- 小菅村を遠隔運航の拠点とする複数拠点の運航体制(2025年6月時点で1対5)[20]
CO2・車両・稼働時間の削減率は、国土交通省の表彰資料に掲載された事業者の申請値で、比較の基準年は示されていません[24]。2023年8月の発表時は福山通運の車両削減で「年間約3t-CO2削減」としていました[11]。山梨県の推薦調書にある「ドローン配送270件(国内1位)、買物代行585件」は時点の記載がなく[9]、2021年10月末の190回・375回[7]と2024年4月の550件超・1,200件超[15]の間の数値とみられます。配送件数には車での配送が含まれる場合があります[15]。
未確認・留意点- 小菅村の負担額(交付金の額、委託費の有無)、セイノーHDの投資額、ファンドを通じた出資額と出資比率は公表されていません[5][15]
- セイノーHDとエアロネクストは、セイノーHDがアンカーLPのファンドを通じた資本関係にあり[5][32]、セイノーHDの執行役員がNEXT DELIVERYの社外取締役を務めています[10]。本ページは出資ではなく、陸送網・機体・実証地の持ち寄りを共創として扱っています
- 小菅村でのサービスの収支は非公開です。国交省検討会の議事概要には「現時点でドローン配送での採算は厳しい」という委員の発言があります(発言者は示されていません)[21]
- 推薦調書は「村内の小売店は2店舗」[9]、2021年の発表は「小さな商店が1店舗」[7]、エアロネクストの事例紹介は「商店は2店舗」[15]と、記述が一致しません
- 2026年1月27日、NEXT DELIVERYが山梨県都留市で行ったルート検証中にAirTruckが電線に接触して墜落し、民家の車両などが破損しました(人的被害なし)。同社は経路設計の環境評価と補助者配置の不備を原因とし、2月3日から検証飛行を再開するとしています[27][28]
- 2024年4月27日に道の駅こすげに無人コンビニ「SkyHubスマートストアこすげ」を開く予定と発表されていますが[13]、開店後の状況は確認できていません
- 小菅村の公式サイトは本事例の確認時に接続できず、村側の一次資料は山梨県の推薦調書と国交省資料で代替しています
- 2026年10月時点の小菅村での配送件数・ルート数は未確認です。2025年6月の国交省資料と2026年1月の遠隔運航の記載から、運用が続いているとみています[20][26]
6組み合わせの意味編集部の考察
考察この組み合わせの要点は、ドローンを「手段」に徹して、陸送との役割分担を最初から設計した点にあると考えられます。多量・重量の荷物は車で、少量・軽量の荷物はドローンで運び[9]、天候で飛べなければ車に切り替える[7]という設計は、物流網と運行ノウハウを持つセイノーHDが入ったことで可能になったとみられます。2023年に加わった共同配送は、各社の荷物をデポに集約する陸送の効率化であり、国交省の表彰で評価されたのもこの部分です[11][24]。
第二に、三者がそれぞれ単独では得られないものを得ている構図です。村は実証地と住民の協力を提供する代わりに、配達限界エリアの物流を維持する仕組みを先行して得ました[7][11]。エアロネクストは、村に子会社の本社と運航チームを置くことで、定期航路と飛行実績、各地の拠点を遠隔運航する本拠地を得ています[3][20]。CEOは「小菅村との出会いがなければエアロネクストグループの成長はもっと限定的なものになっていた」と述べています[13]。セイノーHDは、O.P.P.構想を実地で検証する場と、福山通運などの同業他社を巻き込む実績を得たと推察できます[11]。
第三に、資本関係と共創の関係です。セイノーHDはアンカーLPを務めるファンドを通じてエアロネクストに出資し、執行役員が子会社の社外取締役を務めています[5][10]。ただし提携の内容は「SkyHubの開発」「小菅村での運用実績づくり」「全国展開」という共同活動で規定されており[4]、出資は共創の前提ではなく補強とみられます。
一方、採算は課題です。国交省の検討会では「現時点でドローン配送での採算は厳しい」との発言があり[21]、2026年には物流を「完全な民間サービス」ではなく「準公共化」モデルとして再構築する実証も始まっています[26]。一つの村の需要では成り立たず、横展開と遠隔運航による運航コストの低減[20]、公的な位置づけの確保が、この型の継続条件になる可能性があります。
7他社への応用編集部の考察
考察この型は、人口減少で民間サービスの維持が難しい地域の生活インフラ(物流、交通、医療アクセス)に、技術スタートアップと既存の大手事業者を組み合わせて取り組む場合に応用できると考えられます。自治体が「実証の場」を貸すだけでなく、協定で目的を定め、住民の理解を取り付け、共同配送のように自治体自身が当事者になる場面を持つことが、長く続く条件になると推察できます[1][11][13]。
成立の条件は、スタートアップが現地に拠点と人員を置くこと[3][20]、大手事業者が自社の網を開いて同業他社を巻き込む調整役を担うこと[11]、新技術を既存手段の補完として設計し、試験運用から有償化、共同配送、横展開へと段階を分けること[7][11][12]、県の実証支援・交付金・レベル3.5のような規制改革を組み合わせること[8][15][34]だとみられます。
留意点は、一地域の需要では採算が取りにくく横展開を前提にする必要があること[21][22]、安全管理の体制が事業の信頼を左右すること[27][28]、自治体の負担額が公表されにくく継続の条件が外から見えにくいことです。ドローンの配送件数ではなく、共同配送による配送体制の維持や車両・稼働時間の削減[24]を成果の指標に据えることが望ましいでしょう。
成立に必要な条件
- 自治体が協定で目的と事項を定め、住民の理解を取り付け、共同配送などで自治体自身が当事者になること[1][11][13]
- スタートアップが現地に拠点と人員を置き、実証地を運航の本拠地にすること[3][20]
- 大手事業者が自社の網を開き、同業他社を巻き込む調整役を担うこと[11]
- 新技術を既存手段(陸送)の補完として設計し、試験運用→有償化→共同配送→横展開と段階を分けること[7][11][12]
- 県の実証支援、交付金、規制改革(レベル3.5など)の公的な後押しを組み合わせること[8][15][34]
- 一地域の需要では採算が取りにくいため、横展開と遠隔運航によるコスト低減を前提にすること[20][21][22]
- 安全管理の体制を整え、事故時の原因究明と再発防止を公表すること[27][28]