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共創事例
自社店舗を実証場にAI計量を共同で作り込み、全店展開で調理段階の食品廃棄を6割減らす
IKEA(Ingka Group/Ingka Holding B.V.)(大手企業) × Winnow(Winnow Solutions Ltd)(スタートアップ)
スウェーデン 各国のIKEA店舗(約400店) スケール 枠組み IKEA「Food is Precious」(2017年〜) 情報確認日 2026年10月12日
IKEA店舗の大半を運営するIngka Groupと、厨房の食品廃棄をAIで計測するロンドンのスタートアップWinnowの共創です。2015年に英国の2店舗で試行し[13] 、2017年に「Food is Precious」として食品廃棄の半減を公約して全店に計量システムを広げ[15] 、英国店舗で試したAIカメラ「Winnow Vision」を2019年に製品化しています[14] 。Ingka Investmentsは2019年に1,200万ドルの資金調達を主導し[2] 、Ingkaの店舗は2021年末に50%削減を達成[7] 、2025年度には2017年度比60%減(累計4,750万食相当)と報告しています[10] 。Winnowは2026年時点で3,500超の拠点に広がっています[24] 。
目次
共創の構造 背景と各組織の狙い 提供資源と役割 共同活動 成果物と成果 組み合わせの意味 他社への応用 出典 関連事例
1 共創の構造図解:共創プロジェクトの形
自社店舗を実証場にAI計量を共同で作り込み、全店展開で調理段階の食品廃棄を6割減らす:共創の構造(IKEA、Winnow) プロジェクト全体の段階 探索 PoC 共同開発 事業化 スケール Before| 起点 During| 共創 After| 成果 A IKEA 1 ニーズ・シーズ 慣性を破り、約400店の調理現場の 食品廃棄を2017年比で半減したい 2 提供リソース 約400店の厨房と従業員2万人超、英国店舗での 実証、専任チーム、出資(2019年・2023年) A IKEAの成果 5 獲得成果 確認できた成果 2021年末に50%達成、2025年度 は60%減(累計4,750万食)。英 国だけで10年1,400万ポンド節約 今後の目標・期待 結果の維持と客の食べ残しの計測への 拡張。有機廃棄物を埋立に出さない B Winnow 1 ニーズ・シーズ 計測しにくい厨房の廃棄をAIで自動記録したい。 製品を作り込む現場と世界規模の顧客が必要 2 提供リソース 計量器とタブレットの記録システム、AIカメラWinnow Vision、日次レポート、導入手法とベンチマーク B Winnowの成果 5 獲得成果 確認できた成果 IKEAとの協業でAIカメラを製品化。 出資を受け、3,500拠点超・90か国 超へ拡大し、2026年に同業を買収 今後の目標・期待 顧客の食品廃棄の節約額を年10億ドルに 3 共同活動 英国店舗の試行からAIカメラを共 同で作り込み、全店展開と出資で 2021年末に50%、2025年度60%減 4 成果物 計測システムの全店導入(402店)、 AIカメラWinnow Vision、食品廃棄 60%減(累計4,750万食)、少数出資
Before起点 A IKEA
① ニーズ・シーズ 慣性を破り、約400店の調理現場の食品廃棄を2017年比で半減したい
② 提供リソース 約400店の厨房と従業員2万人超、英国店舗での実証、専任チーム、出資(2019年・2023年)
B Winnow
① ニーズ・シーズ 計測しにくい厨房の廃棄をAIで自動記録したい。製品を作り込む現場と世界規模の顧客が必要
② 提供リソース 計量器とタブレットの記録システム、AIカメラWinnow Vision、日次レポート、導入手法とベンチマーク
During共創 ③ 共同活動 英国店舗の試行からAIカメラを共同で作り込み、全店展開と出資で2021年末に50%、2025年度60%減
④ 成果物 計測システムの全店導入(402店)、AIカメラWinnow Vision、食品廃棄60%減(累計4,750万食)、少数出資
After成果 A IKEAの成果
⑤ 獲得成果 確認できた成果 2021年末に50%達成、2025年度は60%減(累計4,750万食)。英国だけで10年1,400万ポンド節約 今後の目標・期待 結果の維持と客の食べ残しの計測への拡張。有機廃棄物を埋立に出さない
B Winnowの成果
⑤ 獲得成果 確認できた成果 IKEAとの協業でAIカメラを製品化。出資を受け、3,500拠点超・90か国超へ拡大し、2026年に同業を買収 今後の目標・期待 顧客の食品廃棄の節約額を年10億ドルに
プロジェクト全体の段階
探索 PoC 共同開発 事業化 スケール
①ニーズ・シーズ ②提供リソース ③共同活動 ④成果物 ⑤獲得成果。図の内容は本文と同じ出典に基づきます。
段階:スケール 2015年の英国2店舗の試行
[13] から始まり、2017年に全店への展開を公約
[15] 。FY20末(2020年8月)の50%目標は未達でしたが
[4] 、2021年末に達成し
[7] 、計測システムはFY25時点でIngkaの402店に入っています
[10] 。FY25の削減率は2017年度比60%(1人前あたりグラム)で、2026年5月時点で客の食べ残し(plate waste)の計測へ範囲を広げる試行が進んでいます
[12] 。Winnow側もIKEAと作ったAIカメラを核に3,500超の拠点・90か国超に広がり
[24] [26] 、2026年7月には同業の買収を発表しています
[25] 。Ingka Investmentsは2025年9月時点でもWinnowをポートフォリオ企業に挙げています
[29] 。約9年の継続と全店規模の運用、相手側製品の世界展開を踏まえ、スケール段階と判断しています(2026年10月時点)。
2 背景と各組織の狙いIngka GroupはIKEAの店舗を運営する12のフランチャイジーのうち最大で、IKEA小売売上の約90%を占めます。IKEAのコンセプトと商標はInter IKEA Systems B.V.が持ち、Ingkaはフランチャイズ契約の下で店舗を運営します[28] 。店舗のレストランやビストロは年5億6,000万人超に食事を提供しています[1] 。
創業者のカンプラード氏は廃棄を「IKEAにとって大罪」(編集部訳)と呼び、家具では廃棄の管理が進んでいましたが、食品事業には2014年までデータがありませんでした[13] 。IKEA Food Servicesの担当者は、最も即効性のある持続可能性の取り組みが食品廃棄だと判断し、「最も難しいのは慣性を克服すること」(編集部訳)として自社の事業から着手したと述べています[16] 。
Winnowは2013年にロンドンで設立され[27] 、「計測されるものは管理される」(編集部訳)を原則に、ごみ箱に計量器を付けて捨てた食品を記録するシステムを提供していました[18] 。商業厨房は購入食材の5〜15%を捨て、その7割は客に届く前に発生しますが、計測が難しいために不完全な情報で生産量を決めている、というのがWinnowの問題意識です[13] 。
3 提供資源と役割
A IKEA(Ingka Group/Ingka Holding B.V.) 大手企業・オランダ・ライデン(本社)。IKEA店舗は32か国 ・ 公式サイト
1982年設立のIKEA最大のフランチャイジー。IKEAのコンセプトと商標はInter IKEA Systems B.V.(Inter IKEA Group)が持ち、Ingka Groupは12のフランチャイジーの一つとしてフランチャイズ契約の下で店舗を運営し、IKEA小売売上の約90%を占めます[28] 。事業はIKEA Retail、Ingka Centres、Ingka Investmentsの3つ[28] 。店舗のレストラン、ビストロ、スウェーデンフードマーケットで年5億6,000万人超に食事を提供[1] 。FY25の売上高は415億ユーロ[11] 。本事例の2017年の目標はIKEA全体(全フランチャイジー)の目標として設定されており[4] [5] 、本ページではIngka Groupの店舗の数値を扱います。
役割 現場(店舗・従業員)の提供、全店展開の主体、出資者
① ニーズ・シーズ IKEAは2014年に食品事業のデータの欠落を認識していました[13] 。IKEA Food Servicesの担当者は、2014年の関係者会議で「持続可能性に関して最も即効性のある取り組みは食品廃棄」と判断し、「最も難しいのは慣性を克服すること」「まず自社の事業から着手した」(編集部訳)と述べています[16] 。2017年に全IKEA店舗の食品廃棄をFY20末までに50%減らす目標を公表し[4] [15] 、2030年までに「クライメート・ポジティブ」になる方針の一部に位置づけました[1] 。2017年時点で1店舗あたり1日約150kg、全体で年約4万3,000トンの食品廃棄があったと報じられています[22] 。
② 提供リソース 世界約400店の厨房と、計測システムを使うよう訓練した2万人超の食品部門の従業員[1] 。英国店舗を実証の場として提供し、2015年に2店舗で試行、2018年1月からAIカメラの概念実証を行い、2019年4月までに英国・アイルランドの23店舗に導入[13] [14] 。食品廃棄削減に専従するプロジェクトチームを置き、動画やニュースレターで目標と進捗を従業員に伝え、現場がデータに基づいて運営を変える権限を与えました[13] 。Ingka Investmentsが2019年に1,200万ドルのラウンドを主導し[2] [3] 、2023年のシリーズC(1,000万ドル)にも参加しています[19] 。
③ 共同活動での担当 英国店舗でWinnowの試作品を試し、従業員の意見で製品を作り込む場を提供。目標を公表して専任チームを置き、各国の店舗に計測システムと新しい働き方を広げた。Ingka Investmentsとして出資[2] [13] [14] 。
⑤ 確認できた成果 2017年に設定したFY20末までの50%目標は未達(6割超の店舗で導入、平均32%減、1,000万食超)で、期限を2021年末に延長[4] 。2021年12月31日に50%削減を達成し、FY22末で57.8%[7] 2022年9月の発表で2017年比54%減(2022年7月時点)、2,000万食超、CO2e 3万6,000トン回避。従業員2万人超を訓練[1] FY25で2017年度比60%減(1人前あたりグラム)、FY25だけで960万食、累計4,750万食相当[10] [11] 。WRIは2023年に「SDG12.3の半減を達成した初のグローバル企業」と記録[21] 英国のIKEAは10年間で1,400万ポンド超の食材費を節約(Winnow発表)[23] 。Reutersは2022年の発表時の節約額を3,700万ユーロと報道[22]
⑤ 今後の目標・期待 結果を維持しつつ、客の食べ残し(consumer waste)の削減と、避けられない廃棄の活用へ進む[1] 客が皿に残した量を追う試行(plate-waste pilots)を進め、メニュー設計や盛り付け量に反映する[12] 厨房の調理段階の廃棄をさらに減らし、食品廃棄を含む有機廃棄物を埋立に出さない[10]
B Winnow(Winnow Solutions Ltd) スタートアップ・英国ロンドン ・ 公式サイト
2013年5月設立[27] 。Marc Zornes氏とKevin Duffy氏が1か所の社員食堂から始めた、厨房の食品廃棄を計測するフードテック企業[26] 。ごみ箱に計量器とカメラを付け、捨てられた食品をAIで識別して記録する仕組みを提供[2] [14] 。2017年時点で600超の顧客[18] 、2026年時点で3,500超の拠点・90か国超に展開し、ロンドン、シカゴ、ドバイ、シンガポール、クルジュ=ナポカに拠点[26] 。B Corp認証企業[1] 。本ページでは共創開始時(設立2年目)の位置づけに合わせてスタートアップとして分類しています。
役割 計測システムとAIの開発・提供、導入支援
① ニーズ・シーズ 商業厨房は購入した食材の5〜15%を廃棄しており、その7割は客に届く前に発生しますが、計測が難しく、不完全な情報で生産量を決めているとWinnowは説明しています[13] 。Zornes氏は「計測されるものは管理される」(編集部訳)を原則に掲げ[18] 、顧客の食品廃棄を2025年までに10億ドル分減らす目標を置いていました[2] [3] 。カメラで捨てられた食品を自動認識する新製品を作るには、実際の厨房で試験し、画像を学習させる現場と、世界規模の顧客が必要でした[13] [14] 。
② 提供リソース 計量器とタブレットで捨てた食品を記録する「Winnow Waste Monitor」[18] 。2017年10月から開発し、2018年1月にIKEAなどと概念実証を始めたAIカメラ「Winnow Vision」(自動運転と同種の画像認識で、捨てられた食品を学習して識別)[14] 。廃棄の内訳と金額を示す日次レポート[7] 。両社のプロジェクトチームが協働する導入手法と、目標設定のためのベンチマーク[13] 。
③ 共同活動での担当 英国店舗で試作品を試し、従業員の意見を取り入れてAIカメラを製品化。IKEAの目標のベンチマークを示し、導入チームが各国展開を支援[13] [14] 。
⑤ 確認できた成果 IKEAとの協業は「Winnow Visionを市場に出す上で決定的だった」(編集部訳)とIngkaが記載[1] 。Winnow Visionは2019年4月の発表時点で75超の厨房に導入[14] 2019年10月にIngka Investments主導の1,200万ドルのラウンドと欧州投資銀行の800万ドルの融資を得て、同社最大の調達に[2] [3] 。2023年6月のシリーズC(1,000万ドル)にもIngkaが参加[19] [20] 導入拠点は2019年の約1,000拠点・40か国[3] から、2022年の1,500超・50か国[1] 、2026年の3,500超・90か国超へ拡大。顧客の節約額は年1億ドルを超え、Hilton、Marriott、AccorなどとIKEAを主要顧客に挙げる[24] [25] [26] 2026年7月にアジア太平洋の同業Lumiticsを買収[25] 。2025年のWinnowとHiltonの食品廃棄プログラムが業界賞を受賞[25]
⑤ 今後の目標・期待
4 共同活動③ 2015年初め、Winnowの計測システムがイングランドのIKEA 2店舗に試験導入されました。廃棄の削減と厨房の収益改善に加え、従業員が「チームで問題を解く誇り」(編集部訳)を感じたとWinnowは記しています[13] 。IKEAはLeanPathとも2015年から組んでおり、技術パートナーは2社体制でした[15] [17] 。
2016年12月に計量システムの展開が始まり、2017年6月、IKEA Food Services ABは「Food is Precious」として、約400店・48市場の食品廃棄をFY20末(2020年8月)までに半減する目標を公表しました。5月までに84店舗が導入し、17万6,000食分を減らしたとしています[15] 。同年末までにWinnowは11か国のIKEAに広がりました[13] 。
並行して、WinnowはIKEA UKとAIカメラの開発を始めました。試作品を実際のIKEAの厨房で試し、英国各店の従業員の意見で製品を形にする進め方です[13] 。2018年1月に概念実証を始め、2019年4月の発表時点で英国・アイルランドの23店舗に入っていました[14] 。同年10月、Ingka Investmentsが1,200万ドルのラウンドを主導し、Winnow Visionの開発と展開を加速する資金を提供しました[2] [3] 。
FY20末の50%目標は届きませんでした。Ingkaは「6割超の店舗に導入し平均32%減」「技術と新しい働き方の導入には時間がかかると学んだ」(編集部訳)として期限を2021年末に延ばし、タスクフォースを設けました[4] 。2020年にIKEAはWinnowを世界展開の技術パートナーに選び[13] 、導入店舗はFY20の263店からFY21に364店(93%)へ増えました[5] 。削減率はFY21で44.8%[6] 、2021年12月31日に50%に達しました[7] 。
2022年9月、Ingkaは2017年比54%減、2,000万食超、CO2e 3万6,000トン回避と発表しました[1] 。その後もFY23の55.6%(前年比では2.6%増)、FY24の60.5%、FY25の60%と推移し、導入店舗は402店です[8] [9] [10] 。2026年5月時点では、客の食べ残しを計測する試行が進んでいます[12] 。
5 成果物と成果④⑤
成果物
「Food is Precious」(2017年6月公表。約400店・48市場の食品廃棄をFY20末までに半減する目標)[15] AIカメラ「Winnow Vision」(2018年1月にIKEAなどと概念実証、2019年4月発表、英国・アイルランド23店舗に導入)[14] 計測システムの全店導入:Ingkaの店舗でFY20の263店からFY21の364店(93%)、FY22の392店、FY23の400店、FY24の429店、FY25の402店[5] [7] [8] [9] [10] 食品廃棄の削減:2021年末に50%達成[7] 、2022年7月時点54%・2,000万食・CO2e 3万6,000トン[1] 、FY25で60%・累計4,750万食[10] Ingka InvestmentsのWinnowへの少数出資(2019年の1,200万ドルラウンドを主導、2023年のシリーズCに参加)[2] [19] 削減率はIngka Groupの店舗の「production food waste」(売る前の調理・準備段階の廃棄)を2017年度と比べたもので、客の食べ残しは含みません[7] 。2022年9月の54%は「全店合計の削減率」[1] 、FY23以降の数値は「1人前あたりグラム」[8] [10] と指標の説明が異なります。食数換算(2,000万食、4,750万食)とCO2e(3万6,000トン)の算出方法は公表されていません[1] 。節約額はIngkaの発表にはなく、Reutersが3,700万ユーロ[22] 、WRIとWinnowが3,700万ドル[20] [21] としています。Winnowの拠点数・節約額は同社の公表値です[24] [26] 。
未確認・留意点 2017年の目標はIKEA Food Services ABが全IKEA店舗の目標として公表し、技術パートナーはWinnowとLeanPathの2社でした[15] [16] [17] 。Ingkaの削減率にLeanPathを使った店舗の分が含まれるか、2020年以降のLeanPathの扱いは確認できません Ingkaの出資額と持分は非公開です。2019年の1,200万ドルはIngkaが主導した複数の投資家によるラウンドで[2] [3] 、2023年のシリーズCの各社の額も公表されていません[19] 時点によって数値が異なります。2022年7月時点54%[1] に対しFY22末(2022年8月)は57.8%[7] 、FY23は55.6%、FY24は60.5%、FY25は60%[8] [9] [10] 。SDG12.3の達成時期も、2022年の発表は「2021年末、9年前倒し」[1] 、2026年5月の記事は「2022年、8年前倒し」[12] と記載が異なります WRIはCO2e 3万6,000トンを「年間」と記載していますが[21] 、Ingkaの発表と報告書は2017年以降の累計として記しています[1] [7] 導入店舗数はFY24の429店からFY25の402店へ減っていますが、理由は報告書に記載がありません[9] [10] Winnowの拠点数・国数は自社発表で、「90か国超」[26] 「100か国超」[24] 「100か国近く」[25] と表記が揺れています。拠点数のうちIKEAの店舗数は400超(2023年)[20] 2026年に向けた食品廃棄の新しい数値目標(2030年目標など)はIngkaの報告書で確認できず、「調理段階の廃棄をさらに減らす」「有機廃棄物を埋立に出さない」という方針のみです[10] Inter IKEAが全フランチャイジーに設定した目標(2022年末までに50%)の達成状況は確認できません[5] [7] 「Waste Watcher」は、2026年5月のIngkaの記事ではWinnowと開発した計測ツールの名称[12] 、2022年のWinnowの記事では展開プログラムの名称[13] として使われています
6 組み合わせの意味編集部の考察 考察 この組み合わせの要点は、技術の側(Winnow)が「廃棄を自動で認識するAI」を作るために実際の厨房と学習データを必要とし、現場の側(IKEA)が「慣性を破って行動を変える手段」を必要としていたことにあると考えられます。Winnow Visionの試作品はIKEAの厨房で試され、従業員の意見で製品になり[13] [14] 、Ingkaは「IKEAとの協業はWinnow Visionを市場に出す上で決定的だった」(編集部訳)と記しています[1] 。一方、IKEAの削減は技術だけでは進まず、2万人超の従業員の訓練[1] と、専任チーム、社内の発信、現場がデータで運営を変える権限が必要でした[13] 。日本のカゴメとNECの事例と同様に、現場の知見と行動を持つ側と、データ・AIを持つ側の相互補完とみられます。
もう一つの要点は、期限付きの目標の扱いです。IKEAは2017年に全店で半減という目標を公表し[15] 、FY20末に未達となっても取り下げず、学びを公表して期限を延ばしました[4] 。Winnowは、2030年ではなく野心的な期限を置いたこと、KPIを従業員に繰り返し伝えたことを成功要因に挙げています[13] 。
資本関係は顧客関係の後から付いてきました。2019年の出資は「IKEA店舗の食品廃棄を50%減らす道のりで強いパートナーだった」(編集部訳)ことを理由とし、Winnow Visionの展開を加速する目的でした[2] 。出資は少数持分で[1] 、Winnowは他の投資家からも調達し、HiltonやAccorなど競合する小売・ホテルにも展開しています[3] [19] [25] 。大手が顧客・実証場・出資者を兼ねつつ、相手の製品が他社に広がる自由を残した形と推察できます。
7 他社への応用編集部の考察 考察 この型は、多拠点の現場(店舗、工場、病院、給食など)を持つ大手が、計測やAIを持つスタートアップと組んで現場の行動を変える場合に応用できると考えられます。AIの精度は現場の試行と学習データで上がり、現場の変化は従業員の訓練と権限委譲で起きる、という役割の分担が本事例の示すところです[13] [14] 。
成立の条件としては、第一に、試作品を試して意見を返せる現場を限定して用意することです。本事例は2店舗から始め、23店舗で概念実証をしてから世界展開に進みました[13] [14] 。第二に、数値目標を期限付きで公表し、未達でも取り下げずに延長することです[4] [15] 。第三に、技術の導入と並行して専任チームと社内発信を置き、現場に運営を変える権限を与えることです[13] 。第四に、出資は少数持分にとどめ、相手が他社へ展開する自由を残すことです[1] [19] 。
留意点として、削減率は「売る前の調理段階の廃棄」が対象で客の食べ残しは含まれず[7] 、Ingkaは全体の気候負荷に占める割合を0.1%と説明しています[22] 。2015年の試行から50%達成まで約7年かかり、FY23には前年比で廃棄が増えています[4] [7] [8] [13] 。応用する際は、計測の範囲と、達成後の維持を測る指標を最初に決めておくことが望ましいでしょう。
成立に必要な条件
試作品を試して従業員の意見を返せる現場を限定して用意し、段階的に広げること(本事例は2店→23店→全店)[13] [14] 数値目標を期限付きで公表し、未達のときも取り下げずに学びを示して延長すること[4] [15] 技術の導入と並行して専任チーム、社内への発信、現場がデータで運営を変える権限を置くこと[13] 出資する場合は少数持分にとどめ、相手の製品が他社へ広がる自由を残すこと[1] [19] 計測の範囲(調理段階か、客の食べ残しを含むか)と、達成後に維持を測る指標を最初に決めること[7] [8] [12]