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共創事例
電池交換網を他社の二輪メーカーに開放し、互換スクーターで電動化の市場を広げる
Gogoro(Gogoro Inc.、睿能創意)(スタートアップ) × ヤマハ発動機 台湾法人(Yamaha Motor Taiwan Co., Ltd.、台灣山葉機車)(大手企業) × PGO(摩特動力工業股份有限公司、Motive Power Industry Co., Ltd.)(中堅企業) × Aeon Motor(宏佳騰動力科技股份有限公司)(中堅企業)
台湾 台北市・桃園市 事業化 枠組み Powered by Gogoro Network(PBGN)プログラム(Gogoroが車両メーカー向けに知財と交換網を開放する枠組み) 情報確認日 2026年10月13日
台湾で電池交換式の電動スクーターと交換ステーション網を築いたスタートアップGogoroが、2018〜2019年に駆動系・制御装置などの知財と交換網を他社に開放する「Powered by Gogoro Network(PBGN)」を始め、ヤマハ発動機の台湾法人、PGO(摩特動力)、Aeon Motor(宏佳騰)が創設メンバーとして自社ブランドの互換スクーターを発売しています[1] [2] [3] [4] 。2021年には電動二輪販売の約97%をGogoroとPBGN各社が占め[12] 、電池交換の加入者は2026年6月末で67万7,000人に達しています[26] 。一方、2024年に補助金要件に反する輸入部品の使用が判明して創業CEOが辞任し[16] 、販売減のなかで大株主の出資を受けて再建を進めています[21] [28] 。
目次
共創の構造 背景と各組織の狙い 提供資源と役割 共同活動 成果物と成果 組み合わせの意味 他社への応用 出典 関連事例
1 共創の構造図解:共創プロジェクトの形
電池交換網を他社の二輪メーカーに開放し、互換スクーターで電動化の市場を広げる:共創の構造(Gogoro、Yamaha台湾、PGO、Aeon Motor) プロジェクト全体の段階 探索 PoC 共同開発 事業化 スケール Before| 起点 During| 共創 After| 成果 A Gogoro 1 ニーズ・シーズ 自社ブランドだけでなく他社の車両も交換 網に乗せ、加入者と車両台数を増やしたい 2 提供リソース 駆動系・制御の知財と開発キット、1,300か所 超(2019年)の交換網、初期は車両の受託生産 A Gogoroの成果 5 獲得成果 確認できた成果 5→10社超の参加ブランド、電動二輪販 売の97%→67.5%、加入者25万人→67.7 万人、交換収入は増、車両販売は減 今後の目標・期待 交換事業の2026年黒字化、車両事 業の2028年黒字化、ベトナム展開 B Yamaha台湾 1 ニーズ・シーズ 台湾の製品群に電動車を加え、自前で 持たない交換網で利便性を確保したい 2 提供リソース ヤマハブランド、台湾の販売網と電動車専 門店、R&D台湾の設計力、台湾法人の生産 B Yamaha台湾の成果 5 獲得成果 確認できた成果 EC-05(2019年)、EMF(2022年)、 CUXiE(2025年)の3世代の互換車 を発売。電動車専門店800店超 今後の目標・期待 EC-05の年2万台目標の達成状況は未公表。 CO2削減目標に向けた電動車の継続投入 C PGO 1 ニーズ・シーズ 自社では持たない電池・交換網を使って、 電動車の専用ブランドを立ち上げたい 2 提供リソース 自社ブランドのデザインと販売 店網、電動専用ブランドの企画 C PGOの成果 5 獲得成果 確認できた成果 Ur1(2019年)、Ur1 Plus・Ur2 Plus (2022年)を発売し、2026年も販売継続 今後の目標・期待 未確認 D Aeon Motor 1 ニーズ・シーズ 自社ブランドの電動スクーターを、既 存の交換網の上で早く市場に出したい 2 提供リソース 自社ブランドと191店の販売網、自 社開発のスマートダッシュボード D Aeon Motorの成果 5 獲得成果 確認できた成果 Ai-1 Sport(2019年)から車種を拡大。 2022年に台湾の電動スクーターで2位 今後の目標・期待 未確認 3 共同活動 2018年の提携から2019年にPBGN を発表し、3社が互換車を発売。参 加は10社超に広がり、2024年の 補助金問題を経て再建中 4 成果物 PBGNプログラムと、ヤマハ・ Aeon・PGOの互換車3世代、後 続5社以上の車両(約60車種)
Before起点 A Gogoro
① ニーズ・シーズ 自社ブランドだけでなく他社の車両も交換網に乗せ、加入者と車両台数を増やしたい
② 提供リソース 駆動系・制御の知財と開発キット、1,300か所超(2019年)の交換網、初期は車両の受託生産
B Yamaha台湾
① ニーズ・シーズ 台湾の製品群に電動車を加え、自前で持たない交換網で利便性を確保したい
② 提供リソース ヤマハブランド、台湾の販売網と電動車専門店、R&D台湾の設計力、台湾法人の生産
C PGO
① ニーズ・シーズ 自社では持たない電池・交換網を使って、電動車の専用ブランドを立ち上げたい
② 提供リソース 自社ブランドのデザインと販売店網、電動専用ブランドの企画
D Aeon Motor
① ニーズ・シーズ 自社ブランドの電動スクーターを、既存の交換網の上で早く市場に出したい
② 提供リソース 自社ブランドと191店の販売網、自社開発のスマートダッシュボード
During共創 ③ 共同活動 2018年の提携から2019年にPBGNを発表し、3社が互換車を発売。参加は10社超に広がり、2024年の補助金問題を経て再建中
④ 成果物 PBGNプログラムと、ヤマハ・Aeon・PGOの互換車3世代、後続5社以上の車両(約60車種)
After成果 A Gogoroの成果
⑤ 獲得成果 確認できた成果 5→10社超の参加ブランド、電動二輪販売の97%→67.5%、加入者25万人→67.7万人、交換収入は増、車両販売は減 今後の目標・期待 交換事業の2026年黒字化、車両事業の2028年黒字化、ベトナム展開
B Yamaha台湾の成果
⑤ 獲得成果 確認できた成果 EC-05(2019年)、EMF(2022年)、CUXiE(2025年)の3世代の互換車を発売。電動車専門店800店超 今後の目標・期待 EC-05の年2万台目標の達成状況は未公表。CO2削減目標に向けた電動車の継続投入
C PGOの成果
⑤ 獲得成果 確認できた成果 Ur1(2019年)、Ur1 Plus・Ur2 Plus(2022年)を発売し、2026年も販売継続 今後の目標・期待 未確認
D Aeon Motorの成果
⑤ 獲得成果 確認できた成果 Ai-1 Sport(2019年)から車種を拡大。2022年に台湾の電動スクーターで2位 今後の目標・期待 未確認
プロジェクト全体の段階
探索 PoC 共同開発 事業化 スケール
①ニーズ・シーズ ②提供リソース ③共同活動 ④成果物 ⑤獲得成果。図の内容は本文と同じ出典に基づきます。
段階:事業化 2019年に3社の互換車が発売され
[4] [6] 、2020年末には参加5ブランド・30車種超(Gogoroを含む)に広がり
[9] 、2021年には電動二輪販売の約97%をGogoroとPBGN各社が占めています
[12] 。2025年も新型互換車(ヤマハCUXiE)が投入され
[23] 、2026年10月時点でGogoro Networkの公式サイトにヤマハ・Aeon・PGO・eReady・eMOVINGの車種が掲載されています
[33] 。ただし、Gogoroと各社の合計シェアは2025年に約67.5%へ下がり
[25] 、Gogoroの車両販売は2025年に46.3%減り
[25] 、2024年の補助金要件違反の発覚とCEO交代を経て
[16] 、大株主の出資による再建の途上にあります
[21] [28] 。普及が広がった事業化の段階で、拡大が止まっている状態と判断しています(2026年10月時点)。
2 背景と各組織の狙い2011年設立のGogoroは2015年に台湾で自社製の電動スクーターと交換ステーション「GoStation」の事業を始め、2018年9月時点で交換網は750か所超、電池交換は累計1,700万回でした[2] 。台湾の交換網はGogoroが所有し、どのブランドの車両に乗っていても月額の交換料金はGogoroに入ります[12] 。自社ブランドだけでは台数に限りがあるため、交換網を他社の車両に開放して台数と加入者を増やすことが狙いでした[2] [8] 。
ヤマハ発動機は1966年に台湾へ参入し、2017年に年29万台を販売していましたが、交換網は持っていません。協業の目的に製品群の拡充と交換網による利便性向上を挙げています[2] [4] 。AeonとPGOは台湾の二輪メーカーで、交換網を使う電動車を自社で作ることを目指し[3] 、PGOは電動車を専用ブランドに切り出す「油電分離」の方針をとりました[10] 。
台湾政府は2009年以降、経済部の補助制度で電動スクーターの購入を支援し、2022年12月には制度を2023〜2026年に延長しています[14] 。補助は区分により最大7,000台湾ドルで[20] [25] 、主要部品の国産化が要件です[16] 。2020年にはガソリン車への補助で電動車の販売が落ちており[12] 、制度の変化は各社の販売に直接響きます。政府は制度の提供者で、本事例の当事者ではありません。
3 提供資源と役割
A Gogoro(Gogoro Inc.、睿能創意) スタートアップ・台湾・台北市(本社。2018年時点の本社は桃園市) ・ 公式サイト
2011年設立のスタートアップ[25] 。2015年に台湾で電動スクーター「Smartscooter」と電池交換網「Gogoro Network」を始め[2] 、共創開始時の2018年は未上場でした。2022年4月にSPACとの合併でNasdaqに上場しています[25] 。2025年の売上高は2億8,150万ドル、純損失8,000万ドル、従業員1,416人(2024年末2,097人)[25] 。2024年6月にGold Sinoが5,000万ドルを出資して筆頭株主となり[25] 、2025年9月には潤泰グループの尹衍樑総裁が増資への支持を表明[22] 。2026年10月の増資後は取締役の尹崇堯氏が支配する法人が約45.0%と約8.8%を持つ見込みです[28] 。本ページでは共創開始時の位置づけに合わせてスタートアップとして分類しています。
役割 電池交換網と駆動系・制御の知財の提供、互換車の生産支援
① ニーズ・シーズ 2015年に自社ブランド車で電池交換の市場を作ったあと、交換網を「どの車両メーカーも参加できるプラットフォーム」として広げ、車両の生産台数と加入者を増やすことが狙いでした[2] [8] 。台湾の交換網はGogoroが所有するため、加入者がどのブランドの車両に乗っていても電池の月額収入はすべてGogoroに入ります[12] 。ルーク創業者は「Gogoroはオープンなプラットフォームの革新者として設立された」(編集部訳)と述べています[2] 。
② 提供リソース 駆動系・制御装置・部品・スマートシステムなどの知財と、車両メーカー向けの開発キット[1] [12] 。2019年8月時点で1,300か所超の交換ステーション(1日10万回超の電池交換)[1] 。ヤマハ向け第1弾のEC-05はGogoroの市販車を基にGogoroが生産しました[4] 。2022年のヤマハEMFからは「Gogoro Design Kit」を提供し、設計と生産をパートナー側が担っています[11] 。
③ 共同活動での担当 PBGNプログラムを設け、各社に知財・部品・キットを供給。ヤマハEC-05を生産し、交換網を全ブランドの車両に開放した[1] [4] [11] 。
⑤ 確認できた成果 2019年にGogoroブランドは145,678台を販売し二輪市場の16%を占めた[7] 。2020年末までにヤマハ、Aeon、eReady、PGO、eMOVINGの5ブランドが参加し、Gogoroを含め30車種超に[9] 。2025年時点で10社超・約60車種(Gogoroを含む)[25] 電動二輪販売に占めるGogoroとPBGN各社の合計シェアは2021年に約97%[12] 、2022年に90%[15] 、2025年に約67.5%[25] 電池交換の加入者は2019年末の25万人[6] から2022年8月に50万人[13] 、2026年6月末に67万7,000人へ[26] 2025年の電池交換サービス収入は1億4,900万ドル(前年比8.1%増)。一方、車両販売は46.3%減[25]
⑤ 今後の目標・期待 電池交換事業を2026年に非IFRSベースで黒字化し、2027年にエネルギー事業でフリーキャッシュフローを創出、車両事業を2028年に黒字化[21] [26] 2026年の売上高2億8,500万〜3億500万ドル[26] 。ベトナムの合弁で2026年第4四半期に現地向け車両を発売[27]
B ヤマハ発動機 台湾法人(Yamaha Motor Taiwan Co., Ltd.、台灣山葉機車) 大手企業・台湾 ・ 公式サイト
ヤマハ発動機(日本・磐田市)の台湾の現地法人で、1966年に台湾市場へ参入したヤマハの二輪車を生産・販売しています。2017年の台湾での販売は年29万台で、電動スクーターE-VINOも生産していました[2] 。設計はYamaha Motor R&D Taiwanが担います[11] 。2026年時点で台湾に800店超の電動車専門店を持ちます[30] 。
役割 自社ブランド互換車の設計・生産・販売
① ニーズ・シーズ 2018年の協業検討の目的は、台湾市場でガソリン車を含む製品群を拡充し、Gogoroの交換網で電動車の利便性を高めることでした[2] 。ヤマハ発動機は2050年までに製品のCO2排出を2010年比50%減らす方針を掲げ、EC-05をその電動製品戦略の第1弾と位置づけています[4] 。
② 提供リソース ヤマハブランドと台湾法人の販売網[2] [4] 。EC-05ではGogoroの市販車を基にした車体デザイン[4] 。EMF(2022年)ではYamaha Motor R&D Taiwanによる車体設計と、台湾法人の生産・販売[11] 。CUXiE(2025年)では2006年から女性客に支持されてきた「CUXi」の名前と意匠[29] 。
③ 共同活動での担当 2018年9月に協業検討を開始。EC-05の設計、EMFの設計・生産、CUXiEの投入と、台湾法人の販売網での販売を担った[2] [4] [11] [23] 。
⑤ 確認できた成果 2019年8月1日にEC-05を発売(希望小売価格99,800台湾ドル)。PBGN初の車両で、Golden Pin Design AwardとGerman Design Awardを受賞[6] 2022年3月にEMFを発売。Gogoro Design Kitを基に自社で設計・生産する第2弾[11] 2025年8月にCUXiEを投入[23] 。2026年時点で電動車専門店800店超[30]
⑤ 今後の目標・期待 EC-05の発売時目標は台湾で年2万台(2019年)[4] 。達成状況は未公表 ヤマハ発動機はスコープ3のCO2排出を2050年までに2010年比90%減とする目標を掲げ、EMFをその戦略車と位置づけている[11]
C PGO(摩特動力工業股份有限公司、Motive Power Industry Co., Ltd.) 中堅企業・台湾 ・ 公式サイト
1964年設立の二輪車メーカー。1972〜1982年にイタリアのPiaggioと技術提携し、2006年に德產汽車集団と中華開発の出資を受けています[32] 。ガソリン車のJ-bubu、TIGなどを販売し、電動車は別ブランドサイト「PGO智慧電車」で展開しています[10] [31] 。
役割 自社ブランド互換車の企画・販売(電動専用ブランド)
① ニーズ・シーズ 2018年10月のGogoroとの提携は、交換網を使う電動スクーターを自社で作り販売することが目的でした[3] 。PGOは電動車を「油電分離」の方針で専用ブランドとして立ち上げ、「台湾の電動車市場に新しい局面を開く」としています[10] 。
② 提供リソース 欧州調のデザインを特徴とする自社ブランドと、全国の販売店網[10] [31] 。電動車専用ブランド「PGO智慧電車」の企画・運営[31] 。
③ 共同活動での担当 2019年末にUr1を発売し、Ur1 Plus・Ur2 Plusへ展開。Gogoro Networkの電池交換を使う車両として販売を続けている[6] [10] [31] 。
⑤ 確認できた成果 2019年11月末〜12月にUr1を発売[6] [10] 。Ur1は2021年、Ur1 PlusとUr2 Plusは2022年の台湾精品賞を受賞[10] 2026年時点でUr1 經典款とUr2 Plusを販売中(電動専用サイトの最新の告知は2025年11月)[31]
⑤ 今後の目標・期待 記載なし
D Aeon Motor(宏佳騰動力科技股份有限公司) 中堅企業・台湾 ・ 公式サイト
台湾の二輪車メーカー[3] 。2025年第1四半期の連結売上は5億800万台湾ドルで、台湾に191店の販売拠点を持ち、ベトナムに新工場を稼働させています[19] 。電動車は「Ai-」シリーズとして展開し、2022年には台湾で2位の電動スクーターメーカーでした[15] 。
役割 自社ブランド互換車の設計・生産・販売
① ニーズ・シーズ 2018年10月の提携で、Gogoroの交換網を使う電動スクーターを自社で製造・販売することを目指しました[3] 。
② 提供リソース 自社ブランドと販売店網(2025年3月末で191店)[19] 。Ai-1 Sportでは自社開発のスマートダッシュボード「CROXERA」を搭載[6] 。
③ 共同活動での担当 2019年8月にAi-1 Sportを発売し、Ai-1 Ultra ABS、Ai-4 Ever、Ai-2 Gatherへ車種を広げた[6] [33] 。
⑤ 確認できた成果 2019年8月にAi-1 Sportを発売[6] 2022年の台湾の電動スクーター販売で2位(Gogoroの発表)[15] 2026年10月時点でAi-1 Ultra ABS、Ai-4 Ever、Ai-2 GatherがGogoro Networkの車種一覧に掲載[33]
⑤ 今後の目標・期待 記載なし
4 共同活動③ 2018年9月、ヤマハ発動機とGogoroは台湾での電動車事業の協業検討を発表しました。Gogoroの市販車を基にヤマハが車体を設計し、Gogoroが生産、ヤマハ台湾法人の販売網で売る枠組みです[2] 。10月にはGogoroがAeonとPGOとの提携を発表しました[3] 。
2019年8月5日、Gogoroは「Powered by Gogoro Network(PBGN)」を正式に発表し、3社を創設メンバーとしました。Gogoroが駆動系・制御装置・部品などの知財を提供し、各社が自社ブランド車を開発する枠組みです[1] 。ヤマハEC-05は8月1日発売(99,800台湾ドル、初年度目標2万台)[4] 、AeonのAi-1 Sportは8月、PGOのUr1は11月末に発売されています[6] [10] 。11月のPBGN車両(Gogoroブランドを含む)の登録は20,015台で、二輪市場の約25%を占めました[6] 。
2019年10月にスズキの台湾提携先・台鈴工業(e-Ready)[5] 、2020年11月に中華汽車のeMOVINGが加わり[8] 、2020年末に参加5ブランド・Gogoroを含め30車種超[9] 、2021年には電動二輪販売の約97%をGogoroとPBGN各社が占めました[12] 。2022年3月のヤマハEMFは「Gogoro Design Kit」を基にヤマハのR&D台湾が設計し台湾法人が生産・販売する車両で[11] 、2025年8月には定番「CUXi」の電動版CUXiEが加わりました[23] [29] 。2022年8月に加入者は50万人、参加は10ブランドに達しています[13] 。
2024年8月、補助金の要件である主要部品の国産化に反して輸入部品を使ったとの報道を受け、Gogoroは内部調査で一部車両に輸入部品が「意図せず」組み込まれていたことを確認し、当局に報告しました。創業者のルークCEO兼会長は9月13日に辞任し、姜家煒氏が暫定CEOに就きました[16] [17] 。同年第4四半期に減損と組織再編を行い[18] 、従業員は2,097人から2025年末に1,416人に減り[25] 、当局の調査は2025年7月に終了しています[25] 。2025年9月には大株主側の取締役が2026年末までに25億台湾ドルの出資を取り付けると貸し手に約束し、姜氏が正式にCEOに就きました[21] [22] 。2026年3月に1,670万ドル[26] 、10月7日に6,180万ドルの出資を発表しています[28] 。
5 成果物と成果④⑤
成果物
PBGNプログラム(2019年8月発表)。Gogoroが駆動系・制御装置・部品・スマートシステムの知財と開発キットを各社に提供[1] [12] ヤマハEC-05(2019年8月、99,800台湾ドル、Gogoro生産)[4] 、EMF(2022年3月、ヤマハR&D台湾が設計・台湾法人が生産)[11] 、CUXiE(2025年8月)[23] [29] Aeon Ai-1 Sport(2019年8月、自社開発ダッシュボードCROXERA搭載)とAi-1 Ultra ABS、Ai-4 Ever、Ai-2 Gather[6] [33] PGO Ur1(2019年末)、Ur1 Plus、Ur2 Plus[10] [31] 後続参加のe-Ready(台鈴工業)、eMOVING(中華汽車)の車両[5] [8] 。2025年時点で10社超・約60車種[25] 加入者数(2019年末25万人、2022年8月50万人、2025年末66万5,000人、2026年6月末67万7,000人)はGogoroの交換網全体の数字で、Gogoroブランド車と各社の互換車の内訳は公表されていません[6] [13] [25] [26] 。電動二輪販売に占めるシェア(2021年97%、2022年90%、2025年67.5%)もGogoroブランドとPBGN各社の合計です[12] [15] [25] 。各社の互換車の販売台数、Gogoroから各社へのキット・部品の販売額は開示されていません。2025年の市場規模について、Gogoroは台湾の二輪市場(ガソリン車を含む)が5.9%縮小し2016年以降で最少だったとしています[25] 。
未確認・留意点 補助金要件違反に伴う返還額・処分の内容は、GogoroのSEC提出書類に金額の記載がなく(「大半を2024年期に引当」との記述のみ)、台湾当局の公表資料も確認できていません[25] PGOの本体サイトの2026年車種一覧に電動車はなく、別ブランドサイト「PGO智慧電車」でUr1・Ur2 Plusを掲載しています(最新の告知は2025年11月)。2025〜2026年の販売実績は未確認です[31] Aeon Motorの公式サイトは本ページの作成時に接続できず、同社の互換車の2025〜2026年の販売状況は、Gogoro Networkの車種一覧の掲載で確認したにとどまります[33] PGOのUr1の発売時期は、Gogoroの発表では「11月末」[6] 、PGOの沿革では「12月」[10] と異なります。2019年8月の発表では3社とも「この夏」の発売とされていました[1] 2025年のGogoroブランドの販売台数は報道で49,228台(前年比37.6%減)[24] 、SEC提出書類では車両販売46.3%減[25] とされ、集計の基準が異なるとみられます 台湾政府(経済部)は購入補助の制度提供者であり、本事例の当事者としては扱っていません。補助は主要部品の国産化を要件とし、その違反が2024年の問題につながっています[16] [20] [25] 2026年10月の第2弾の増資は10月13日までの払込予定で、完了は確認できていません[28] ヤマハ台湾の各車種の販売台数、EC-05の年2万台目標の達成状況は未公表です[4]
6 組み合わせの意味編集部の考察 考察 この共創の中心は、スタートアップが築いた交換網と駆動系の知財を、ブランドと販売網を持つ既存メーカーに開放し、「車両は各社、エネルギーはGogoro」という分業を作った点にあると考えられます。各社は電池や交換網を自前で持たずに電動車を出せ、Gogoroは各社の販売がそのまま加入者の増加につながります。交換料金はブランドを問わずGogoroに入り[12] 、Gogoroは互換化機器1ドルの販売ごとに車両寿命10年で約1ドルの交換収入が生じると説明しています[25] 。
二つ目の要点は、パートナーの関与が段階的に深まったことです。ヤマハのEC-05はGogoroが生産するOEMでしたが[4] 、EMFはGogoroの設計キットを基にヤマハ側が設計・生産し[11] 、CUXiEは自社の定番ブランドの電動版です[29] 。Aeonも自社開発のダッシュボードを載せています[6] 。知財を完成品ではなくキットとして渡したことで、各社が自社の設計・生産力を使える余地が広がったと推察できます。
一方で、プラットフォームを1社のスタートアップに依存する難しさも示しています。2024年の補助金要件違反は創業CEOの辞任、人員削減、株式併合、大株主の出資による再建へ続き[16] [21] [25] 、合計シェアは97%から67.5%へ下がりました[12] [25] 。交換網が止まれば各社の車両も走れないため、Gogoroの財務の持続性は各社の製品の存続条件になっているとみられます。
7 他社への応用編集部の考察 考察 この型は、インフラや規格を持つスタートアップと、ブランド・販売網・生産力を持つ既存メーカーの共創に応用できると考えられます。「単独では普及させにくいインフラ」を持つ側が知財をキットとして開放し、製品の設計と販売を既存メーカーに委ねる形です。
成立の条件は、第一に、インフラ側の収入がパートナーの販売に直結する設計です。本事例では交換料金がブランドを問わずGogoroに入るため、各社の販売を支える動機が生まれています[12] 。第二に、受託生産から設計キットへ移ったヤマハの例のように[4] [11] 、相手の設計・生産力を使える余地を残す知財の渡し方です。第三に、公的補助が前提になる場合、補助の要件(本事例では主要部品の国産化)をプラットフォーム側と各社の供給網で共通に管理することです[16] [25] 。
一方、パートナー側は、インフラを持つスタートアップの財務が傷んだときの備えが要るとみられます。本事例では、Gogoroが2025年以降、大株主の出資と融資条件の緩和で資金をつないでいます[21] [25] [28] 。電池や交換網の継続性を契約や資本関係で担保し、市場の縮小や競合の台頭で合計シェアが下がる局面[25] を織り込むことが、応用の前提になるでしょう。
成立に必要な条件
インフラ側の収入がパートナーの販売に直結する設計(本事例では交換料金が車両ブランドを問わずGogoroに入る)[12] [25] 知財を完成品ではなくキットとして渡し、パートナーの設計・生産力を段階的に使えるようにすること(受託生産→設計キット→自社ブランドの電動版)[4] [11] [29] 公的補助が前提になる場合、補助の要件(主要部品の国産化など)をプラットフォーム側と各社の供給網で共通に管理すること[16] [25] インフラを持つスタートアップの財務悪化や支配株主の変化に備え、電池・交換網の継続性を契約や資本関係で担保すること[21] [28] 市場全体の縮小や競合の台頭で合計シェアが下がる局面を、各社が事業計画に織り込むこと[25]
8 出典[1] Gogoro Announces Yamaha, Aeon Motor, and PGO as Founding Members of Its Powered by Gogoro Network Program Gogoro・プレスリリース・英語・公表日 2019年8月5日・確認日 2026年10月13日 [2] Yamaha Motor and Gogoro Begin EV Business Collaborative Study ヤマハ発動機・プレスリリース・英語・公表日 2018年9月11日・確認日 2026年10月13日・Gogoroのニュースルーム(https://www.gogoro.com/news/yamaha-gogoro-cooperation/)にも同文が掲載 [3] Aeon and PGO To Make Scooters That Integrate with the Gogoro Energy Network Gogoro・公式サイト・英語・公表日 2018年10月17日・確認日 2026年10月13日 [4] Yamaha Motor Launches EC-05 Electric Scooter in Taiwan, First Vehicle under Strategy Aiming to Reduce CO2 Emissions by 50% ヤマハ発動機・プレスリリース・英語・公表日 2019年6月27日・確認日 2026年10月13日 [5] Tai ling Industry Partners with Gogoro; Joins Powered By Gogoro Network Program To Build New Electric Scooters in 2020 Gogoro・プレスリリース・英語・公表日 2019年10月30日・確認日 2026年10月13日 [6] 25% of total Taiwan market monthly sales Gogoro・公式サイト・英語・公表日 2019年12月1日・確認日 2026年10月13日・2019年11月の登録台数と、ヤマハEC-05・Aeon Ai-1 Sport・PGO Ur1の発売時期を記載 [7] 2019 - Accelerated Transformation Gogoro・公式サイト・英語・公表日 2020年1月2日・確認日 2026年10月13日 [8] An LEV Platform for All: CMC's eMOVING Joins PBGN Alliance Gogoro・公式サイト・英語・公表日 2020年11月30日・確認日 2026年10月13日 [9] 2020 - A Year of Positive Change Gogoro・公式サイト・英語・公表日 2020年12月31日・確認日 2026年10月13日 [10] 歷史沿革 PGO(摩特動力工業)・公式サイト・中国語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日・2019年12月のUr1発売(PBGN、油電分離)と2021〜2022年の台湾精品賞受賞を記載 [11] バッテリー交換式電動スクーター「EMF」を台湾で発売 ~Gogoro社との協業によるEV第2弾~ ヤマハ発動機・プレスリリース・公表日 2022年1月19日・確認日 2026年10月13日 [12] Form 20-F (Annual Report for the fiscal year ended December 31, 2021) Gogoro(米証券取引委員会EDGARで確認)・公式サイト・英語・公表日 2022年5月2日・確認日 2026年10月13日・PBGNの収益構造(キット販売+交換料金)、2021年の電動二輪販売シェア97%、OEMパートナー6社、補助政策の変遷を記載 [13] Gogoro Surpasses 500,000 Battery Swap Subscribers in Taiwan Gogoro・プレスリリース・英語・公表日 2022年8月23日・確認日 2026年10月13日 [14] Taiwan Announces Four Year Extension to Electric Two-wheel Vehicles Subsidy Gogoro・プレスリリース・英語・公表日 2022年12月13日・確認日 2026年10月13日 [15] Gogoro Led Taiwan in Electric Scooter Sales in 2022 For the Seventh Straight Year and Gogoro Network Battery Swapping Powered 90-percent of Taiwan's Electric Scooters Gogoro・プレスリリース・英語・公表日 2023年1月5日・確認日 2026年10月13日 [16] Form 6-K (Internal Investigations and Change of Management and Board) Gogoro(米証券取引委員会EDGARで確認)・公式サイト・英語・公表日 2024年9月13日・確認日 2026年10月13日 [17] Gogoro CEO resigns as subsidy fraud investigation continues TechCrunch・取材記事・英語・公表日 2024年9月16日・確認日 2026年10月13日 [18] Form 20-F (Annual Report for the fiscal year ended December 31, 2024) Gogoro(米証券取引委員会EDGARで確認)・公式サイト・英語・公表日 2025年3月31日・確認日 2026年10月13日・2024年8月の内部調査と当局への報告、2024年第4四半期の減損・組織再編を記載 [19] 宏佳騰:越南廠量產獲首批訂單 進軍北美市場 中央通訊社(CNA)・取材記事・中国語・公表日 2025年5月7日・確認日 2026年10月13日 [20] 經濟部修正電動機車補助要點,提高三項補助金額 台湾経済部産業発展署・自治体・公的機関の資料・中国語・公表日 2025年6月17日・確認日 2026年10月13日 [21] Form 6-K (Press Releases on Director Undertaking to Procure Equity Investments, Naming Henry Chiang Official Chief Executive Officer, and 1-for-20 Share Consolidation) Gogoro(米証券取引委員会EDGARで確認)・公式サイト・英語・公表日 2025年9月16日・確認日 2026年10月13日・同じ提出書類のExhibit 99.2(CEO就任)と99.3(株式併合)も参照 [22] 東協財經/尹衍樑相挺 Gogoro獲大股東承諾增資25億元 中央通訊社(CNA)・取材記事・中国語・公表日 2025年9月16日・確認日 2026年10月13日 [23] Form 6-K (Gogoro Releases Third Quarter 2025 Financial Results) Gogoro(投資家向けサイトで確認)・公式サイト・英語・公表日 2025年11月12日・確認日 2026年10月13日・2025年8月のヤマハCUXiE投入、加入者65万7,000人、台湾二輪市場の第3四半期販売が10年で最少と記載 [24] Gogoro targets Vietnam as Taiwan scooter sales slide Taiwan News・取材記事・英語・公表日 2026年1月6日・確認日 2026年10月13日・中央通訊社の報道を引用 [25] Form 20-F (Annual Report for the fiscal year ended December 31, 2025) Gogoro(米証券取引委員会EDGARで確認)・公式サイト・英語・公表日 2026年3月31日・確認日 2026年10月13日・2025年の業績、加入者66万5,000人、合計シェア67.5%、10社超・約60車種、当局調査の終了(2025年7月)、Gold Sinoとの取引、従業員数を記載 [26] Form 6-K (Gogoro Releases Second Quarter Financial Results, Gogoro Continues to Focus on Sustainable Growth) Gogoro(米証券取引委員会EDGARで確認)・公式サイト・英語・公表日 2026年8月24日・確認日 2026年10月13日 [27] Gogoro:財務目標有機會超前 第4季按計畫越南推新車 中央通訊社(CNA)・取材記事・中国語・公表日 2026年9月12日・確認日 2026年10月13日 [28] Gogoro Inc. Announces US$61.8 Million New Round of Equity Investments (Form 6-K, Exhibit 99.1) Gogoro(米証券取引委員会EDGARで確認)・公式サイト・英語・公表日 2026年10月7日・確認日 2026年10月13日 [29] YAMAHA CUXiE 經典可愛 最帶電 台灣山葉機車(Yamaha Motor Taiwan)・公式サイト・中国語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日 [30] EV電動車 台灣山葉機車(Yamaha Motor Taiwan)・公式サイト・中国語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日・電動車専門店800店超、Gogoro Networkの交換ステーション2,500か所超と記載 [31] PGO智慧電車(公式サイト) PGO(摩特動力工業)・公式サイト・中国語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日・Ur1 經典款とUr2 Plusを掲載。最新の告知は2025年11月5日 [32] 品牌精神(PGO智慧電車) PGO(摩特動力工業)・公式サイト・中国語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日 [33] Powered by Gogoro Network 車款(Gogoro Network 台湾) Gogoro・公式サイト・中国語・公表日 不明・確認日 2026年10月13日・2026年10月時点でeMOVING、eReady、PGO、Aeonmotor、YAMAHA、Gogoroの車種を掲載 公表日は出典の掲載日、確認日は編集部が内容を確認した日です。出来事の日付は本文に記載しています。日本語以外の出典は、編集部が内容を日本語にして要約しています。引用文の訳も編集部によるものです。